1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07457317
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大本 堯史 岡山大学, 医学部, 教授 (60032900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊達 勲 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (70236785)
古田 知久 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (30181457)
浅利 正二 岡山大学, 医療技術短期大学部, 教授 (40175857)
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Keywords | パーキンソン病 / 遺伝子治療 / 神経栄養因子 |
Research Abstract |
神経栄養因子を脳内に安定供給する手段として、遺伝子操作により神経栄養因子産生能を持たせた細胞をカプセル化して脳内に移植する方法は、臨床応用の期待できる有用な方法である。しかし臨床応用に際してはこの方法が長期にわたって有効であることを証明する必要がある。baby hamster kidney(BHK)細胞にpNUT-β-hNGF constructをリン酸カルシウム法を用いて遺伝子導入し、NGF産生能を持たせた。この細胞を高分子半透膜製のカプセルに封入し、パーキンソン病モデルラットの線条件内に副腎髄質クロム親和細胞と同時に移植した。宿主は移植1ヵ月、6ヶ月、12ヵ月後に屠殺し検討した。カプセル内には移植12ヵ月後も多数のNGF産生細胞が生着し、2-3ng/dayのレベルのNGFが産生され続けていた。NGFカプセルと同時に移植されたクロム親和細胞の生存数は、12ヵ月後でも宿主1匹あたり1000を越えており、NGFカプセルを移植しなかった場合に比べて約30倍の生存数であった。また、アポモルフィン誘発の回転運動についても、NGFカプセルと同時に移植した群では40-50%の回転運動の減少が移植12ヶ月後も観察された。本研究により、(1)カプセル化したNGF産生細胞は12ヵ月の長期にわたり生着し、脳内にNGFを供給する、(2)NGFの持続的分泌により、同時移植されたクロマフィン細胞の生着率が長期にわたって向上する、(3)ドーパミンの供給源であるクロマフィン細胞の生着が向上することによって、長期間、パーキンソン病モデル動物の行動の改善が得られる、等の点が明らかとなった。カプセル化細胞の脳内移植は、免疫学的拒絶反応や腫瘍形成をひきおこすことなく神経伝達物質や神経栄養因子を脳内に供給することを可能にするが、本研究によってその効果が長期間安定して見られることが示され、近い将来臨床応用が期待される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Date,I.et al.: "Long-term enhanced chromaffin cell survival and behavioral recovery in hemiparkinsonian rats with co-grafted polymer-encapsulated human NGF-secreting cells" Experimental Neurology. 147. 10-17 (1997)
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[Publications] Ono,T.et al: "Evaluation of intracerebral grafting of dopamine-secreting PC12 cells into allogeneic and xenogeneic brain" Cell Tromsplantation. 6. 511-513 (1997)