1996 Fiscal Year Annual Research Report
骨軟部悪性腫瘍の特異的染色体転座による再配列遺伝子発現の分子機構解析
Project/Area Number |
07457324
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
阿部 周一 北海道大学, 理学部, 助教授 (80125278)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野島 孝之 金沢医科大学, 病理部, 教授 (50142732)
吉田 廸弘 北海道大学, 理学部, 教授 (60001765)
|
Keywords | 骨軟部悪性腫瘍 / 特異的染色体転座 / 遺伝子再配列 / RNA-PCR / キメラ遺伝子cDNA / トランスフェクションアッセイ / CGH |
Research Abstract |
ユ-イング肉腫、滑膜肉腫、横紋筋肉腫などの特異的染色体転座を保持した症例を含む骨軟部悪性腫瘍において研究を進め、今年度は以下の結果を得た。 1.腫瘍症例の収集は順調に進み、染色体分析とRNA-PCRの結果から、特異的転座保有症例は滑膜肉腫12例、ユ-イング肉腫13例、胞巣型横紋筋肉腫6例、軟部悪性黒色腫2例となった。このうち、新規の軟部悪性黒色腫1例のt (12 ; 22)転座のEWS-ATF-1キメラcDNAにおいてこれまでの報告には無い新しい切断点が認められた。 2.ユ-イング肉腫t (11 ; 22)転座のEWS-FLI1キメラcDNAの構造解析から、欠失や択一的RNAスプライシングによる複数の転写産物が生じていることが分かった。極めて興味あることに、このような変異転写産物は、EWSのエクソン10でFLI1と融合している症例にのみ認められ、観察された構造変異はエクソン9に集中していた。これらの変異転写産物の機能について、トランスフェクションアッセイにより検討中である。 3.同様の択一的RNAスプライシングが滑膜肉腫t (X ; 18)転座のSYT-SSXキメラ遺伝子においても認められ、少なくとも3種類の転写産物ができていることが分かった。変異転写産物は、SSX遺伝子のスプライシング異常によるもので、SYT遺伝子における構造変異は認められていない。ただ、正常SSX遺伝子のRNA-PCRによってもスプライシング異常が示唆されたので、変異キメラcDNA生成は遺伝子再配列の結果ではない可能性が高い。 4.骨軟部悪性腫瘍における新規遺伝子変異の探索のため、昨年度に続き横紋筋肉腫においてCGH解析を行ったところ、胎児型と胞巣型で異なるCGHパターンが得られた。この結果は、遺伝子増幅や欠失などが組織型により異なることを示し、CGHによる鑑別診断の可能性を示唆するものとして興味深い。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Hiroaki Hiraga: "Establishment of a new continuous clear cell sarcoma cell line : morphological and cytogenetic characterization and detection of chimeric EWS/ATF-1 transcript" Virchows Archiv A, Pathological Anatomy & Histopathology. (印刷中).
-
[Publications] Stephan Weber-Hall: "Gains, losses, and amplification of genomic material in rhabdomyosarcoma analyzed by comparative genomic hybridization" Cancer Research. 56・14. 3220-3224 (1996)
-
[Publications] Stephan Weber-Hall: "Novel formation and amplification of the PAX7-FKHR fusion gene in a case of alveolar rhabdomyosarcoma" Genes, Chromosomes & Cancer. 17・1. 7-13 (1996)
-
[Publications] Janet Shipley: "Interphase fluorescence in situ hybridization and reverse transcription polymerase chain reaction as a diagnostic aid for synovial sarcoma" American Journal of Pathology. 148・2. 559-567 (1996)
-
[Publications] Kazuo Kutsumi: "Hyperplastic callus formation in both femurs in osteogenesis imperfecta" Skeletal Radiology. 25・2. 384-387 (1996)