1996 Fiscal Year Annual Research Report
抗ウイルス性が期待される新規N-チオカルバモイル化N-アミノ核酸塩基類の合成
Project/Area Number |
07457522
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
川添 豊 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (80106252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和彦 名古屋市立大学, 薬学部, 講師 (40117833)
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Keywords | N-ニトロソ尿素 / アルキル化剤 / 制がん剤 / N-アミノ核酸塩基 / 抗ウイルス剤 |
Research Abstract |
N-カルバモイル化N-アミノ芳香族化合物のN-ニトロソ化合物を中心として、それらの遺伝子毒性と、さらに、そのアルキル化能を利用した抗腫瘍効果に焦点を絞って検討を行うため、種々の置換基を有する当該新規ニトロソ類似体の合成を行った。更に、N-ニトロソ尿素誘導体の生物活性と対比しつつ、抗腫瘍薬としての有用性を検討するため、当該カルバモイル化N-アミノ芳香族化合物の基礎的反応性の検討を行った。モデル化合物としてN'-アミノ2-キノロン誘導体を用いて基礎的検討を行ったが、核酸と親和性をもつ核酸塩基のN-アミノ体を用いて当該新規N-ニトロソ誘導体の合成にも一部成功している。 基礎的検討から得られた結論として、当該新規ニトロソ尿素類似体はpHに殆ど依存しないでアルキル化能を発揮することが明かとなった。ACNUなどの既存のニトロソ尿素系制癌剤による細胞傷害は[OH-]に一次の速度で進行する。従って、pHが常に低いといわれているがん組織細胞の殺傷には不利である。当該新規ニトロソ尿素類似体によるアルキル化傷害はpHに殆ど依存しないので、この点を克服した改良型アルキル化型制癌剤となり得る。更に、N′- (2-hydroxyethyl)誘導体は極めて速くアルキル化が進行するので、当該OH基を酸性で脱離しやすい置換基で保護した場合には、がん組織細胞の殺傷に有利な制癌剤となり得ることを明かにした。
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