1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07457610
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
矢内原 巧 昭和大学, 医学部, 教授 (70102308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 一浩 昭和大学, 医学部, 助手 (60261187)
鈴木 明 昭和大学, 医学部, 講師 (10221318)
斉藤 裕 昭和大学, 医学部, 助教授 (30119193)
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Keywords | 母体血 / 有核赤血球 / 出生前遺伝子診断 |
Research Abstract |
現在、遺伝性疾患の胎児出生前診断は、絨毛・羊水・胎児血を侵襲的に採取することにより行われている。一方、妊娠末梢血液中には胎児由来の細胞が微量ながら存在することが知られている。我々は、妊娠末梢血液中に存在する胎児由来細胞のなかで、肉眼的に識別可能である有核赤血球を用いて、非侵襲的に胎児出生前診断を行う方法の確立を試みた。妊娠6週以降の妊婦より末梢血7mlを採取し、EDTA処理後、Percoll不連続密度勾配遠沈法により有核赤血球を含む分画を分離する。分離回収後、スライドグラスに塗末・乾燥させたのちにパッペンハイム染色を行う。顕微鏡観察下に有核赤血球を識別し、micromanipulatorを用いて単一細胞レベルで回収する。回収した単一の有核赤血球よりDNAを抽出し、Primer extension pre-amplification (PEP)法を用いて全DNA増幅を行う。さらに、このPEP産物を用いて胎児の性別及びRh式血液型の診断を行い、診断可能であった。今回我々が行った方法は、肉眼的に胎児由来細胞の一つである有核赤血球を単一細胞として識別・回収し、性別診断することによりこの細胞が胎児由来であることを確認できるとともに、胎児遺伝性疾患の遺伝子診断を妊娠6週頃より非侵襲的に行うことを可能にする方法である。胎児由来有核赤血球を用いる本法は、現在広く用いられている羊水・胎児血を用いる方法に比べ、妊娠初期より可能であること、母体・胎児にとって非侵襲的であることなどの利点を有している。今後の出生前診断法として有効であり、広く応用されるものと考えられる。
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