1996 Fiscal Year Annual Research Report
体育の授業成果を高める学習指導スタイルに関する実証的研究
Project/Area Number |
07458011
|
Research Institution | UNIVERSITY of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 健夫 筑波大学, 体育科学系, 教授 (60029725)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡澤 祥訓 奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (40110978)
|
Keywords | 学習指導スタイル / 体育授業研究 / 授業の主導性 / 組織的観察法 / 形成的授業評価 / プロセス-プロダクト研究 |
Research Abstract |
1.7年度作成した学習指導スタイル観察法になお問題を認めたため、より有効な観察法の開発をめざして検討を加え、教師と学習者の主導性の視点から、4次元で観察記述する方法を完成させた。4次元とは、(1)各授業場面の時間量の次元、(2)授業の場面転換に関する主導性の次元、(3)各授業場面内の主導性の次元、(4)教師の相互作用に関する主導性の次元である。 2.この観察法を適用して、62の小・中学校の体育授業を観察分析した。その結果、この観察法によって、授業における教師・学習者の主導性の発揮のしかたがよく理解できることがわかった。このような主導性の発揮のしかたは、発達段階や運動種目(教材)によっても異なることが明らかになった。さらに単元過程においても変化し、単元はじめの数時間は教師が強く主導性を発揮し、中盤から次第に学習者が強く主導性を発揮していることがわかった。 3.この観察法による分析結果と、学習者による形成的授業評価との相関分析の結果、単元なかの授業においては、教師が主導性を発揮するよりも、学習者が発揮した方が大きな授業成果を収めることができることがわかった。このことは、今日文部省が推進している自主的・自発的学習のよさを実証することにもなった。 4.関連研究として、「体育授業中の諸変数が授業成果に及ぼす影響」「観察者の授業評価視点の構造分析」「授業過程での学習者の集団的・情意的行動観察法の開発」等についても研究し、成果を発表した。
|
-
[Publications] 高橋健夫、歌川好夫: "教師の相互作用及びその表現のしかたが子どもの形成的授業評価に及ぼす影響" スポーツ教育学研究. 16-1. 13-23 (1996)
-
[Publications] 高橋健夫、長谷川悦示: "体育授業観察チェックリスト作成の試み" 体育学研究. 41-3. 181-191 (1996)
-
[Publications] 高橋健夫: "体育の学習指導の構造" 学校体育. 49-6. 14-17 (1996)
-
[Publications] 日野克博、高橋健夫: "よい体育授業を実現するための基礎的条件の追証的検討" 筑波大学体育科学系紀要. 20. (1997)
-
[Publications] 日野克博、高橋健夫: "体育授業観察チェックリストの有効性に関する検討" スポーツ教育学研究. 16-2. (1997)
-
[Publications] 平野智之、高橋健夫: "体育授業における集団的・情意的行動観察法の開発" スポーツ教育学研究. 17-1. (1997)