1996 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー共鳴イオン化法を用いた鉄核変換物質検出による超高感度中性子ドシメトリー
Project/Area Number |
07458096
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井口 哲夫 名古屋大学, 工学部, 教授 (60134483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 修一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (90262047)
伊藤 只行 名古屋大学, 工学部, 助手 (90023118)
河原林 順 名古屋大学, 工学部, 助手 (80283414)
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Keywords | 中性子ドシメトリー、 / 共鳴イオン化、 / レーザー分光、 / 質量分析、 / 鉄、 / マンガン、 / 核変換、 / 同位対比 |
Research Abstract |
本研究は、低レベル中性子照射環境における中性子ドシメトリーを、従来の誘導放射能測定に代り、超高感度に行う方法として、レーザー共鳴イオン化法(Resonance Ionization Spectroscopy:RIS)の適用性を検討したものである。特に、原子力施設の構造材に豊富に含まれる鉄等の元素を対象に、質量分析計と組み合わせて、高感度性とともに、高選択性、迅速性、同重体干渉回避等のRISの特長を生かし、中性子との核反応の結果生じたMn等の微量核種または同位体比変化の定量によって中性子線量評価を行う方式の原理実証、基本的な測定システムとデータ処理法の確立、及び実用化のための技術的課題を明らかにすることに重点が置かれた。平成7年度のXeガス検出を媒介にした基本システムの整備と性能評価、及びFe,Mn等の検出スキームの理論的検討結果をもとに、平成8年度に実施された研究概要と主な成果は下記の通りである。 1.固体試料蒸気化のためのレーザーアブレーション工学系を整備し、Mn,Fe等に関してRISスキームの妥当性を実験的に確認した。特に、レーザーアブレーションと共鳴イオン化を同時に行うレーザー共鳴アブレーションに基づく検出法について、基本性能(検出効率、元素選択性等)のレーザー出力や波長依存性等を明らかにし、システムの最適調整によって、従来の放射化測定を凌ぐ感度が得られることを実証した。 2.Fe等の中性子核変換による微量生成核種及び同位対比変化のRIS測定から簡便に中性子線量を推定する方法として、ニューラルネットワークをベースにした手法を考案し、従来の放射化法と遜色のない推定結果が得られることを示した。 しかしながら、放射線安全に関わる実験的制約から、実際に中性子照射された試料における同位体比変化の定量精度の評価が未だ不十分であり、また、レーザー系の安定性改善や試料の蒸気化プロセスの素過程の解明が実用化にとって重要であることが分かった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 井口哲夫: "「放射線センシングの発展と将来展望」V.放射線センシングと先端技術の融合.3.レーザーによる放射能検出." 日本原子力学会誌. 38・9. 727-729 (1996)
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[Publications] T.Iguchi,: ""Application of Neural Network to Neutron Dosimetry Using Activation Foils'," Proc.9th Int.Symp.on Reactor Dosimetry,. 81-82 (1996)
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[Publications] S.Hasegawa: "'Two-Color Resonance Ionization Spectroscopy of Autoionization States of Pb'," Proc.8th Int.Symp Resonance Ionization Spectroscopy and Its Applications,. 122-122 (1996)