1997 Fiscal Year Annual Research Report
汚濁内海・内湾の水質浄化における人工海浜の役割に関する研究
Project/Area Number |
07458135
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
須藤 隆一 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70109916)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 開欽 国立環境研究所, 主任研究員 (20250722)
山田 一裕 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30250723)
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Keywords | 内海・内湾 / 人工海浜 / 浄化機能 / 窒素 / リン / 有機物 / 環境保全 |
Research Abstract |
内海・内湾のような沿岸域は,穏やかで生産性が高く,古くから良好な漁場として,また憩いの場として利用されてきた。しかし,高度成長に伴う埋立てや,護岸工事,汚濁の進行によって海浜は消失していった。日本に現存する自然海岸はわずかであり,しかも健全な内湾生態系は危機に瀕している。本研究では,汚濁の進んだ内湾を浄化する方法の一つとして,自然エネルギーを活用しながら景観の損なうことのない人工海浜システムを提案し,パイロットプラント現場実験による定期観測と連続調査を通して,人工海浜システムによる汚濁海水の浄化機能について検討した。得られた成果をまとめると次の通りである。 1)礫を用いた人工海浜において,懸濁物質が効果的に除去された。この効果は主に礫浜の表層において大きく,捕捉された濁質のうち一部は海水の逆流や波浪によって剥離し,海域へ再流出する。一方蓄積された有機成分は,分解・無機化された。また有機物の無機化や硝化に伴う礫浜内部のDO消費量は泥の蓄積が増加するにつれ大きくなった。DOの低下は下層において大きかった。 2)礫浜内部では,NH4-Nが速やかに硝化され,低DO濃度部における脱窒反応によって窒素ガスとなり,系外排出された。 3)礫浜においてリンは吸着作用によって除去されており,海水と接触する表面積が増加するほど除去量は増えた。しかし単位面積あたりの吸着量には限りがあり,時間経過とともに衰えた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 徐 開欽, 他: "人工海浜による閉鎖性内湾の水質浄化" 環境工学研究論文集. 34. 249-258 (1997)
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[Publications] 木村賢史, 須藤隆一, 他: "東京都内湾の底層水域環境と底生動物との関係" 水環境学会誌. 20. 411-418 (1997)
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[Publications] 山田一裕, 徐開欽, 他: "循環と共生をめざした水環境の復元技術" 日本水処理生物学会誌. 33. 47-54 (1997)
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[Publications] 須藤隆一: "CO_2同様にN,Pも国別排出目標が必要-環境保全対策の方向-" 月刊地球環境. 29. 27-31 (1998)