1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07458235
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 照剛 東京大学, 医学部(医), 教授 (00037988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩坂 正和 東京大学, 医学部(医), 助手 (90243922)
塩川 光一郎 東京大学, 理学部, 教授 (20037295)
神谷 瞭 東京大学, 医学部(医), 教授 (50014072)
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Keywords | 生体磁気刺激 / 磁場効果 / 磁場の生体影響 / 生物発生過程 / 血栓溶解反応 / 磁場による水の二分 / 脳の局所的磁気刺激 / 酵素活性への強磁場効果 |
Research Abstract |
本研究は、生体へ及ぼす磁場の作用機構に関して、磁場による生体系の水や溶存酸素の磁気処理、燃焼や化学反応、生化学反応の制御、および脳の局所的磁気刺激による脳の情報処理機構解明など、磁場の新しい利用の可能性を見いだすことを目的としている。パルス磁場発生装置と超伝導マグネットを用いた実験等により、以下のような成果を得ることができた。 まず、パルス磁場による生体磁気刺激法の開発に関して、三角波磁場による連続磁気刺激時の神経興奮の閾値の変化、不応期に着目し神経興奮過程について計算機シニュレーションを行った。その結果、単一線維を神経興奮モデルとして用いたが、8字コイルを用いた連続磁気刺激に対する神経興奮の本質的なメカニズムに関して解析を行うことができた。これにより、生理学的に知られている前置刺激による神経興奮の閾値の変化、刺激強度に対する興奮時間間隔の変化、絶対不応期を確認することができた。 また、末梢神経の磁気刺激に関して、8字コイルを用いた肘における正中神経、尺骨神経を例にとり、コイルの向きとM波の振幅の関係を分析した。その結果、コイルの向きによってM波の振幅が異なることが明らかにできた。 血栓線維素溶解過程に対する静磁場効果を調べた結果、血栓溶解速度が磁場勾配の大きさと磁場勾配の方向に顕著に影響されることを明らかにできた。また、用いた8テスラ程度の強磁場が血栓溶解系の酵素に無害であることも示した。 溶存酸素の濃度分布に対する磁場の影響に関して、濃度分布の時間変化特性を明らかにするとともに、計算機シニュレーションによる溶存酸素クラスタの大きさの推定を行った。さらに、酸素を発生する酵素反応として、カタラーゼによる過酸化水素分解反応を取り上げて8テスラの強磁場下での実験を行った結果、反応溶液からの酸素の脱着が磁場影響を受け、過酸化水素分解反応が抑制されることを見い出した。
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[Publications] 上野照剛、岩坂正和: "8テスラ強磁場における水面の形状変化" 日本応用磁気学会誌. 19-2. 609-612 (1995)
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[Publications] 上野照剛、兵頭亮、久良敦志: "連続磁気刺激による神経興奮特性モデル" 日本応用磁気学会誌. 19-2. 617-620 (1995)
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[Publications] 上野照剛、古川剛、岩坂正和: "水溶液の電気伝導度および流速に及ぼす磁場効果" 日本応用磁気学会誌. 19-2. 613-616 (1995)
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[Publications] 吉川勲、岩坂正和、上野照剛: "ショウジョウバエ 体細胞突然変異検出系への磁場影響" 日本応用磁気学会誌. 19-2. 597-600 (1995)
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[Publications] S.Ueno,M.Iwasaka: "Catalytic activity of catalase under strong magnetic field of up to 8T." Journal of Applied Physics. 79-8(in press). (1996)
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[Publications] 上野照剛: "生体磁気" 日本応用磁気学会誌. 19-3. 677-683 (199)
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[Publications] M.Iwasaka,S.Ueno,H.Tsuda: "Fibrinolytic Process on Static Magnetic Fields" Proc.of the 17th IEEE Engineers in Medicine and Biology Society. 17. 1737-1738 (1995)
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[Publications] S.Ueno,M.Iwasaka,G.Furukawa: "Dynamic Behavior of Dissolved Oxygen under Magnetic Fields" IEEE Transactions on Magnetics. 31-6. 4259-4261 (1995)
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[Publications] M.Iwasaka,S.Ueno,H.Tsuda: "Measurement of Clottability of Fibrin Poymers using Magnetic Orientation" Journal of Applied Physics. 79-8(in press). (1996)
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[Publications] 岩坂正和、上野照剛、津田博子: "フィブリンの磁気泳動と反磁性特性" 日本応用磁気学会誌. 19-2. 601-604 (1995)
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[Publications] 岩坂正和、上野照剛、津田博子: "血栓線維素溶解系への磁場効果" 電気学会論文誌C. 116-2. 163-169 (1996)
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[Publications] 岩坂正和、上野照剛、津田博子: "強磁場におけるプラスミン活性変化" 日本応用磁気学会誌. 19-2. 605-608 (1995)