1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07458235
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 照剛 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00037988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊良皆 啓治 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (20211758)
岩坂 正和 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90243922)
塩川 光一郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20037295)
神谷 瞭 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50014072)
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Keywords | 生体磁気刺激 / 磁場効果 / 磁場の生体影響 / 生物発生過程 / 血栓溶解反応 / 磁場による水の二分 / 脳の局所的磁気刺激 / 酵素活性への強磁場効果 |
Research Abstract |
本研究では、生体へ及ぼす磁場の作用機構を明らかにし、磁場による生体系の水や溶存酸素の磁気処理、生化学反応の制御、および、神経の局所的磁気刺激により神経情報処理機構を解明するという、磁場の新しい利用の可能性を見いだすことを目的とした。まず、常磁性である溶存酸素の磁場中でのふるまいに着目し、ヘモグロビンの可視吸光スペクトルに対する強磁場影響の有無を調べた。大気中の酸素が赤血球サスペンションに溶解する量が、14T磁場下において顕著に増加する結果を得た。 また、磁場中分光システムにより、フィブリン凝固および溶解過程を14T磁場下にて測定した結果、磁場配向したフィブリン線維の凝固速度・溶解速度が配向しない場合よりも上昇する結果を得た。また、活性酸素系酵素として、SOD、ペルオキシダーゼ、およびキサンチンオキシダーゼ等の酵素活性測定を14Tまでの強磁場下で行ったが磁場効果は見られなかった。さらに、蛍の生物発光に関与するルシフェリン-ルシフェラーゼ酵素反応系に対する最大14T磁場効果を調べ、磁場による発光強度の低下などを観測した。さらに、ラット等の実験動物の皮膚温度が最大8T磁場下にて顕著に減少し、磁場曝露後に体温が初期レベルまで回復する現象を明らかにした。 生体磁気刺激に関しては、ガン細胞、正常細胞、および大腸菌を50Hz、〜1Tの低周波変動磁場で刺激し、熱ショック蛋白質等の発現などを調べた結果、顕著な影響は認められなかった。ヒト脳神経磁気刺激の機構解明のため、不均一容積導体モデルを用いて誘導電場の計算機シミュレーションを行い、神経周囲の電気伝導度の相違による磁気刺激効果について新たな知見を得た。
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[Publications] M.Iwasaka, et al.: "Effects of Gradient Magnetic Fields on Diffusion Process of Glycine in Water" IEEE Transactions on Magnetics. 30・5. 4254-4256 (1997)
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[Publications] M.Iwasaka, et al.: "Polymerization and Dissolution of Fibrin Under Homogeneous Magnetic Field at 14 T" Journal of Applied Physics. 83・11(in press). (1998)
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[Publications] M.Iwasaka, S.Ueno: "Bioluminescence under static magnetic fields" Journal of Applied Physics. 83・11(in press). (1998)
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[Publications] M.Iwasaka, S.Ueno: "Structure of Water Molecules Under 14 Tesla Magnetic Field" Journal of Applied Physics. 83・11(in press). (1998)
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[Publications] M.Iwasaka, S.Ueno: "Optical Measurements of Magnetophoresis of Macromolecules" IEEE Transactions on Magnetics. 83・11(in press). (1998)
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[Publications] 岩坂正和・上野照剛: "水・エタノール系の光学特性に及ぼす磁場効果" 日本応用磁気学会誌. 21・4-2. 405-408 (1997)
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[Publications] 上野照剛: "生体反応および生体物質への磁場効果" 化学工業. 48・10. 7-14 (1997)
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[Publications] 上野照剛: "生体磁気学とME" 日本ME学会BME別冊. 11・2. 29-38 (1997)
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[Publications] S.Ueno, N.Iriguchi: "Impedance Magnetic Resonance Imaging : A Method for Imaging of Impedance Distributions Based on Magnetic Resonance Imaging" Journal of Applied Physics. 83・11(in press). (1998)
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[Publications] 小林、上野、他: "神経刺激機序解明のための不均一容積導体モデル" 日本応用磁気学会誌. 21・4-2. 749-752 (1997)
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[Publications] 岩坂正和、上野照剛: "生体高分子・アミノ酸の磁気泳動-液体クロマトグラフィー的解析-" 日本応用磁気学会誌. 21・4-2. 741-744 (1997)
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[Publications] 上野照剛、岩坂正和: "生物・環境産業のための比熱プロセス事典「強磁場中での生物および物理化学的効果" サイエンスフォーラム(岩本、鈴木、重光、加藤、五十部(編)), 534(73-80) (1997)