1995 Fiscal Year Annual Research Report
精神遅滞児の携帯用ガイドとなる多目的「エージェント」の応用研究
Project/Area Number |
07458244
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
成田 滋 兵庫教育大学, 学校教育研究センター, 教授 (10172587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖田 善光 国立特殊教育総合研究所教育工学研究部, 研究員 (60270310)
長瀬 久明 兵庫教育大学, 学校教育研究センター, 助教授 (10127269)
藤田 継道 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (50099941)
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Keywords | 携帯型個人情報機器 / コミュニケーション / 発達遅滞児 |
Research Abstract |
今日の携帯型個人情報機器は、デジタル化技術の恩恵により、情報を媒介として障害者と健常な人をつなぐコミュニケーションの媒体となりうる可能性を有している。この個人情報機器は、情報のナビゲ-タとしてロボットのような役割を果たし、発達遅滞児の情報処理を助けるガイドとして使うことが考えられる。発達遅滞児は多くの場合、記憶、検索、情報処理、洞察などに困難を示す。その問題を少しでも解消するために、言語だけでなく具対物や音声などのコミュニケーション手段を使って問題解決のための手掛かり情報を提供してやる必要がある。本研究は、障害児の中で特に発達遅滞児の自立を助けるコミュニケーションの道具として、デジタル技術を応用する多目的な"エージェント"というガイド的なソフトウエアを試作しその応用を研究することである。 本年度は、発達遅滞児のコミュニケーションに関するこれまでの諸研究で明らかにされてきた特徴を総括し、その知見を"エージェント"を設計するための仕様として活用した。さらに、親の同意を得て横浜市内の公立小学校にある特殊学級において"エージェント"を使う6年生の男子被験児を特定し、研究計画の概要と"エージェント"の開発を説明した。次ぎに"エージェントに組み込むための知識として、被験児の親から知的能力や行動の特徴などの諸情報を聴取した。それには、被験者に与える問題解決の課題、課題解決に要求されるスキルの一覧の作成、ガイドとなる地図情報などが含まれた。さらに、"エージェント"に入力する情報収集のために地域の調査を行い、"エージェント"開発の基礎資料とした。なお、被験児が取り組む課題は、自宅から公共機関を使い金沢文庫駅前にあるケーキ屋で買い物をして帰ってくるという想定である。現在"エージェント"は、個人情報機器「Newton」に移植され、被験児の自宅と教室で試行され、改良のための情報が採取されている。なお、平成8年度の研究は、"エージェント"の本格的な試行と改良、研究成果の発表と報告書の作成となる。
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