1995 Fiscal Year Annual Research Report
BKBO超伝導体の粒界トンネル接合を用いた超高周波電磁波検出素子の開発
Project/Area Number |
07505014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
早川 尚夫 名古屋大学, 工学部, 教授 (60189636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 鎮 郵政省通信総合研究所, 超伝導研究室, 研究室
藤巻 朗 名古屋大学, 工学部, 助教授 (20183931)
井上 真澄 名古屋大学, 工学部, 講師 (00203258)
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Keywords | 酸化物超伝導体 / 薄膜 / バイクリスタル / トンネル接合 / 粒界接合 / SISミキサ- / 超高周波電磁波検出器 / 熱処理 |
Research Abstract |
我々のグループでは,バイクリスタル基板上のBi_<1-x>K_xBaO_3(以下BKBOと略す)薄膜内部に人工的に導入された結晶粒界を絶縁層として利用し,酸化物超伝導体では世界で初めてSIS(超伝導体-絶縁体-超伝導体)構造を持つジョセフソントンネル接合を作製した。BKBO粒界トンネル接合の応用として重要と考えられるのは,金属超伝導体より超伝導ギャップエネルギーΔの大きいことを利用した従来より高い周波数にも対応可能な超高周波電磁波用の高感度検出器である。このような検出器は電波天文分野などでその開発が強く要望されている。本研究は,BKBO粒界トンネル接合を用いてTHz領域までの超高周波電磁波検出用SISミキサ-を開発することを目的とした。本研究の研究開発課題として、(1)基板の低誘電率化,(2)結合特性の改善,(3)接合の集積技術の開発,があるが,まず本年度は主に(1)について研究を行った。本年度得られた知見を以下に述べる。 1.低誘電率基板上への薄膜成長技術の確立:BKBOはSrTiO_3基板上では良質な薄膜が得られるが,SrTiO_3は誘電率が高くて高周波応用には使えないため、低誘電率基板上への薄膜成長技術の確立を目指してMgO(比誘電率=10)基板上への製膜技術の研究を行った。SrTiO_3基板に比べてMgO基板上に良質のBKBO薄膜を成長させるのは難しく,このため,基板処理,バッファ層の使用などを検討した。その結果,スパッタリング装置内で製膜前にin-situで行う基板の熱処理が有効であることを見い出した。特に,基板加熱時に必ず酸素を含むガスを導入しておくことが重要であることがわかり,SrTiO_3基板上のものとほとんど同じ特性の薄膜を得ることができた。 2.接合特性の検討:SrTiO_3基板上に作製した接合の特性について検討し,諸パラメータの評価を行った。 3.高周波回路の検討:超高周波検出器応用の基礎実験を行うための電磁波回路について検討を行った。
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