1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07554016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安藤 雅孝 京都大学, 防災研究所, 教授 (80027292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 英幸 海洋電子株式会社, 主任研究者
津田 敏隆 超高層電波研究センター, 教授 (30115886)
片尾 浩 京都大学, 防災研究所, 助手 (80221878)
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Keywords | 音響測距 / GPS / 海底地殻変動 / 船位 / M系列 / 海水温度 / 南海地震 / GPS測量 |
Research Abstract |
海底地殻変動は、現在の海底地球物理学における第一級の課題である。しかしながら、実用化可能な機器はいまだ世界のどのグループも開発していない。当研究では、新しい海底地殻変動測定器として、GPSと海底音響測距を組み合わせて、陸の固定点と海底の固定点との距離の変化を測定することを試みた。当研究の目的は、船上に設置したGPS3台を用いて、ディファレンシャルGPSにより、船の位置を3次元的に決定し、かつこの船を移動させて、複数点から音響的に、船に対する海底の固定点の位置を決定し、陸上との位置をcmの精度でおさえる試みである。 ディファレンシャルGPSの位置決定の精度を知るために、陸上でGPS受信機を回転させて、その位置決定精度を見積もることや、船上に1mだけ離したGPSの相対位置がどの様な変化をするかの追跡など、種々の実験を行った。この結果、船の絶対位置決定精度は、1m近くの誤差があるものと推定された。これらの誤差を減少させる試みが今後必要とされると思われるが、当面は船が港から離れてからの位置を、キネマティックGPSで連続的に追跡することにより、初期値(船の位置)の誤りにより生じる誤差を排除することが可能となるかもしれない。 海底測距に関しては、最大の誤差の要因は海水の温度推定の誤差である。今回は、測定期間中に温度測定を行っていないために、正確な変化は明らかではないが、和歌山県白浜湾で行った、浅層部での連続観測からはかなりの大きさの変化が検出されており、深さに変換すると距離の1/1000〜1/1000に達するものと思われる。これは浅層部での観測であるため深部での変化とは一概に言えないが、精度高く温度の時間変化を測定することは今後の最重要課題である。 音響測距の要となるのは、音響信号の往復時間をいかに正確に測定できるかにかかる。現在、5次のM系列信号による測定が行われているが、この面での改善も今後の精度向上につながるものと思われる。 以上、今年度は、精度1mと一応測定されその結果が求められた。この様な、総合システムとして測定結果が得られたことは大きく、今後の発展が期待されるものと信ずる。
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