1997 Fiscal Year Annual Research Report
ハギア・ソフィア大聖堂を中心とする歴史的建築物の劣化診断法の確立と保全方法の提案
Project/Area Number |
07555179
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Research Institution | MIYAGI NATIONAL COLLEGE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
伊藤 憲雄 宮城工業高等専門学校, 建築学科, 助教授 (20042252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角舎 輝典 宮城工業高等専門学校, 情報デザイン学科, 助教授 (20161143)
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Keywords | ハギア・ソフィア大聖堂 / 消石灰 / モルタル / 炭酸化養生 / 強度特性 / 耐久性試験 / 流動解析 / 構造解析 |
Research Abstract |
平成9年度の研究成果は,以下のとおりである。 1)炭酸化養生したモルタルは気中養生した場合の圧縮強度では約2.3〜3.6倍,引張強度では約1.7〜3.4倍,動弾性係数では約1.8〜2.7倍の値が得られた。炭酸化したモルタルの引張強度は,圧縮強度の約1/8〜1/12程度であることを明らかにした。また細骨材の混入によって脆度係数が小さくなり,粘り強く成ることが分かった。 2)炭酸化したモルタルの耐薬品性試験結果,炭酸化促進養生したモルタルが連による劣化を遅らせていることが分かった。さらに凍結融解試験を行った結果では炭酸化促進養生した試験体が耐凍害性に優れていることが分かった。 3)部材劣化の原因となる空間内に滞留する湿気について,同様の事例分析と試算からその対策を検討した結果,空間が密閉されている場合に,主発生源である人体から発生した高湿空気は空間上部に滞留した後結露する可能性が高くこれには動力の必要の無い煙突効果による換気が有望であることが分かった。 4)地動加速度が80〜100Gal程度の地震時の層剪断力係数はイスタンブールの組積造では0.18となり,自重と水平荷重を考慮した構造解析結果,大聖堂は東西・南北両方向とも安全であることが分かった。しかし,300〜400Gal程度の地震に対しては,東西・南北共危険であることが分かった。 5)構造解析の結果,大聖堂の構造的弱点が東側と西側の横断アーチの中間の高さに発生するヒンジにあると推定し,構造保存のためには横断アーチの補強が必要であることが分かった。
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[Publications] 青木孝義,伊藤憲雄,角舎輝典,日高健一郎: "ハギア・ソフィア大聖堂を中心とする歴史的建築物のモルタルの強度と弾性係数" 第43回構造工学シンポジウム論文集. Vol.43B. 146-151 (1997)
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[Publications] 青木孝義,伊藤憲雄,角舎輝典: "ハギア・ソフィア大聖堂を中心とする歴史的建築物のモルタルの変形について" コンクリート工学年次大会論文報告集. Vol.19,2. 1671-1676 (1997)
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[Publications] 伊藤憲雄,青木孝義,角舎輝典: "ハギア・ソフィア大聖堂を中心とする歴史的建築物のモルタルの性状について(その5 中性化試験結果)" 日本建築学会1997年度大会(関東),A-1材料施工. 673-674 (1997)
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[Publications] 角舎輝典,青木孝義,伊藤憲雄: "歴史的建築物における水分・塵埃被害防止に関する研究 人体発生水分の移動状況につて" 芸術工学会誌(第5回秋季大会号). Vol.97,15. 26 (1997)
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[Publications] 青木孝義,伊藤憲雄,角輝典舎: "ハギア・ソフィア大聖堂を中心とする歴史的建築物のモルタルの炭酸化による強度発現への影響" 第44回構造工学シンポジウム論文集. Vol.44B(掲載決定). (1998)
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[Publications] 青木孝義,伊藤憲雄,角輝典舎: "ハギア・ソフィア大聖堂を中心とする歴史的建築物のモルタルの耐薬品性について" コンクリート工学年次大会論文報告集. Vol.20(投稿中). (1998)