1996 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸域における生態系保全のための次世代型水質予測手法の開発
Project/Area Number |
07555465
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
楠田 哲也 九州大学, 工学部, 教授 (50037967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山西 博幸 九州大学, 工学部, 助手 (20240062)
大石 京子 九州大学, 工学部, 助手 (20110835)
森山 克美 九州共立大学, 工学部, 助教授 (80157932)
久場 隆広 九州大学, 工学部, 助教授 (60284527)
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Keywords | 水質 / 博多湾 / シミュレーション / 確率 / 観測 / 宍道湖 / 一酸化二窒素 |
Research Abstract |
わが国の水質シミュレーションは、始まった頃には水質を環境基準に適合させる施策を得るためになされていたが、その後は富栄養価防止を対象になされてきている。本来、水質の評価は水質自体の評価に加えて生態系への影響についてもなされるべきであるが、そこまでには至っていない。また、水質は種々の外的条件に支配されているので外的条件の変動の特性を予測結果に反映させるべきであるが、現状ではそうなっていない。さらに、水質予測の基本となる水質データも瞬間のポイント値がある空間、ある時間の平均値の代わりとして利用されているという矛盾を抱えている。 本研究はこのような状況に鑑み、生態系に対する水質の影響を確率的に予測する手法とデータの空間平均値取得方法の開発を目的とした。 得られた結果は以下の通りである。生態系に対する水質の影響を確率的に予測する手法を開発するために、外部要因に水質が大きく支配される水域を対象に検討した。第一に東京湾の青潮の発生を風向き、温度躍層の生成を要素としエネルギーの輸送伝達により推定した。その結果、数値解析により推定された結果を幅広く包含する予測が可能となった。第二に宍道湖の貧酸素水塊の発生を中海から宍道湖への塩水侵入の確立と結びつけることに成功した。美保湾から中海への塩水侵入は美保湾での低気圧の通過により海面上昇と結びつけられる。第三に博多湾での長期連続観測結果をもとに博多湾の密度躍層下での貧酸素水塊の発生をはじめて確認し、密度躍層下の層厚、昼間の日射量、植物プランクトンと低質による酸素消費速度により貧酸素水塊の発生確率密度関数を表示し得た。さらに、データの空間平均値取得方法を開発するために、開水面上の大気と水面直下の二酸化炭素と一酸化二窒素をそれぞれ測定し、乱流物質輸送仮定下で気散率より平均濃度を推定する方法を開発した。
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