1996 Fiscal Year Annual Research Report
針葉樹葉クチン成分及びその分解物の効率的な大量取得法の確立と高度利用法開発の試行
Project/Area Number |
07556101
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Section | 試験 |
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大橋 英雄 岐阜大学, 農学部, 教授 (80021723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重松 幹二 岐阜大学, 農学部, 助手 (00242743)
河合 真吾 岐阜大学, 農学部, 助教授 (70192549)
棚橋 光彦 岐阜大学, 農学部, 教授 (80093269)
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Keywords | バイオマス / 針葉樹 / 葉成分 / クチン / エストライド / 大量取得 / 高度利用法 / 10,16-ジヒドロキシヘキサデカン酸 |
Research Abstract |
地上最大のバイオマス資源である樹木の高度有効利用が注目されている。しかし、利用対象はチップ生産以外は樹幹の一部に限られており、他は捨てられている。報告者は毎年多量に遺棄されているスギやヒノキ等の針葉樹の枝葉に注目し、研究している。葉の主要成分、クチンは乾燥葉量の10-20%を占める未利用資源である。本課題ではクチン及びその分解物の効率的な大量取得法の確立をめざしている。今回は、クチンとその分解物の効率的取得のための処理法を種々検討し、大量取得のためのモデル実験を試行した。 クチン分解物大量取得法確立の検討では、応用利用を意識し、スギやヒノキの機械的切断葉を用い、分解物を最も効率良く得る反応の温度、時間、アルカリ試薬量について検討した。得られた条件による10,16-ジヒドロキシヘキサデカン酸大量取得の手順確立を試みた。また、微量な分解物、アルコール、酸類の単離を行った。次に、上記目的にそう前処理法についても検討した。試料の機械的粉砕と分解物量の関係についても調べた。また、セルラーゼやクチナーゼによる酵素前処理とその後の分解物量についても検討した。さらに、新しいパルプ製造法とし注目されているプロピレングリコール処理を試み、本法がこれまでの5倍以上分解物量を増加させることを明らかにした。 上記とは別に、枝葉そのものの利用法開発のため、枝葉粉の液化と発砲体の試作を検討した。材や樹皮粉での検討事例に比べると、まだ問題はあるが、枝葉も液化できることが判明した。また、発砲体の試作についても、一層の試料添加量増加を計る必要があるが、試作品を調整することができた。現在、試作品のJISによる微生物分解試験中である。なお、枝葉の液化率が低いとの問題にクチン成分が関係していることが予測できた。しかし、クチンによる難液化は、この成分を集中取得できる可能性があると考えられるので、これを大量取得法確立に生かすべく、別途、実験を企画中である。
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