1996 Fiscal Year Annual Research Report
異種有用遺伝子のパンコムギへの導入及び座位決定のための遺伝的システムの開発
Project/Area Number |
07556132
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
遠藤 隆 京都大学, 農学研究家, 教授 (60068830)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 直彦 京都大学, 農学研究家, 助教授 (20212243)
|
Keywords | 染色体再編成 / パンコムギ / ライムギ / C-バンド / PCR / セカリン / 分子雑種形成法 |
Research Abstract |
近年、パンコムギの高頻度に染色体構造異常を誘発する遺伝子が近縁野性種に発見され、それを利用した染色体再編成の系が確立している。本試験研究は、ライムキ染色体をモデルケースとし、この染色体再編成系をライムギ染色体の添加系統に応用し、多数のライムギとパンコムギ染色体間の転座系統及びライムギ染色体の多数の欠失系統の育成を目的とした。今年度は、最終年度にあたり、パンコムギのライムギ1R/1B染色体置換系統(Burgas 2)にAegilops triuncialis染色体(3C)が添加されたパンコムギ品種農林26号を交配した雑種第一代の自殖子孫から2n=44(20"+1"1R+1"3C)の染色体構成を持つ5系統を選抜した。また、2m=42(20"+1"+1R)の染色体構成を持つ系統も数系統得た。これらの系統が農林26号由来の3B染色体を1対有していると、2n=44と2n=42系統の交配から染色体構造変移を起こす2n=43(20"+1"1R+1'3C)個体を必ず得ることができるようになり、1R染色体異常を誘発するシステムを完成することができる。現在、これらの系統を育成して、農林26由来の3B染色体の有無を確認する交配実験を遂行中である。1Rの構造異常を検出する方法として、前年度ハC-バンド法、分子雑種形成法(in situ hybrization)を行ったが、本年度は、PCR法によるライムギの種子貯蔵蛋白質のセカリン遺伝子の検出法を確立した。すでに公表されているω-セカイン遺伝子の延期配列から、最初のプライマーを設計し、このPCRによって増幅したDNA(1R特異的でなかった)から新たな延期配列を読み、さらに配列に基づいて、1R特異的なプライマーを得ることに成功した。この遺伝子は1Rの付随体に座乗しているうので、1Rの短腕における欠失を簡便に検出できるものと期待される。
|
-
[Publications] Endo,T.R: "The deletion stocks of common wheat" The Journal of Heredity. 87. 295-307 (1996)
-
[Publications] Gill,K.S.: "Identification and high-density mapping of gene-rich regions in chromosome group of wheat" Genetics. 143. 1001-1012 (1996)
-
[Publications] Yamamori,M.: "Variation of starch granule proteins and chromosome mapping of their coding in common wehat" Theoretical and Applied Genetics. 93. 275-281 (1996)
-
[Publications] Endo,T.R..: "Allocation of a gametocidal chromosome of Aegilops cylindrica to wheat homoeologous group 2." Genes & Genetic Systems. 71. 243-246 (1996)