1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07556145
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 和夫 東北大学, 農学部, 教授 (20005672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 秀男 宮城県農業短期大学, 畜産科, 講師 (20191942)
篠原 久 東北大学, 農学部, 助手 (50178886)
太田 実 東北大学, 農学部・附属農場, 助教授 (00005670)
西脇 亜也 東北大学, 農学部, 助手 (60228244)
佐藤 衆介 東北大学, 農学部, 助教授 (80136796)
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Keywords | 低投入型酪農 / 環境保全 / 家畜福祉 / 行動 / 草地 / 土壌動物・微生物 / 乳生産 / 窒素付加量 |
Research Abstract |
岩手県にある土地利用型低投入酪農家の実態を乳生産性、環境保全性、家畜福祉性の視点から春、夏、秋の3期にわたって調査した。この牧場は46haからなり、傾斜度は平均13度で、全面放牧、無施肥管理であった。平均飼養頭数は家畜単位で34頭程度であった。まき牛繁殖で、放牧地での自然分娩、2ヵ月齢までの自然哺乳を行っていた。放牧草休眠期間は粗飼料としてビッグベールサイレ-ジが与えられ、それ以外の期間は放牧のみであった。植生は造成時の長草型草種からケンタッキーブルーグラスおよびレッドトップが優先する短草型草種への転換がみられた。高放牧圧にも関わらず裸地率は比較的低かった。放牧地の平均草高は4cm程度で、平均牛草重量は85g/m^2程度であった。搾乳牛へは道産ふすま1.5kgおよびビ-トパルプ2kgを1日2回加給した(国産)。摂食行動は10.5〜11.5時間にも及び、その値はこれまでの報告の最大値に近く、限界といえた。樹葉摂食率は1.3〜17.9%で、草地におけるバイトサイズの小ささを反映していた。心理的ストレスをもたらす行動抑制は質的に認められなかったが、育成牛で模擬舌遊び行動が出現し、強制離乳が原因の1つと考えられた。ジャージー牛を交配しているため小型化していた。牛の健康度は高く、治療回数は1回のみ(捻挫)であった。年間の化学肥料、購入飼料および購入粗飼料を流入量とし、生産乳量および生体出荷量を流出量とし、草地への窒素蓄積量を計算した。放牧採草兼用地には44.4kgN/ha、専用放牧地には9.8kgN/haおよび専用放牧林地には0.8kgN/haとなり、極めて低投入であった。1日の乳量および出荷量からの1乳期推定乳量は4000kg程度であった。乳脂率は平均3.91%であり、3.5%乳脂率は放牧でもクリアできた。無脂固形分は平均8.5%で放牧中はさらに低かった。細菌数、細胞数ともにやや高めであった。土壌微生物・動物相には特に違いはみられなかった。環境保全性、家畜福祉性に関しては集約畜産方式をはるかにしのいだが、生産性(乳量、細菌数)に関しては後退的であった。購入飼料費が比較的高く、この経営は技術に対する付加価値で経営的に存立していた。例数を増やし、このような方式の技術的存立基盤を明らかにしたい。
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