1996 Fiscal Year Annual Research Report
クロロホルム・トリクロルエタン等の生体に及ぼす影響
Project/Area Number |
07557219
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Research Institution | Yamagata University School of Medicine |
Principal Investigator |
鈴木 庸夫 山形大学, 医学部, 教授 (70004588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 弘志 山形大学, 医学部, 助手 (10142217)
梅津 和夫 山形大学, 医学部, 助教授 (10091828)
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Keywords | クロロホルム / トリクロルエタン / 呼吸と循環 |
Research Abstract |
イヌをネンブタール麻酔下に背位に固定し、挿管した。血圧モニター用動脈ラインを左大腿動脈に留置し、食道内に胸腔内圧測定用カニューレを胸腔中央の高さまで挿入した。心電図は第2誘導で、また脳波は頭皮から誘導して記録した。イヌが完全に麻酔から醒めた後、気管内に挿管したカニューレの先端を飽和濃度のクロロホルムの入った51入りのプラスチックバッグに接続し、クロロホルムを吸引させた。呼吸運動は吸入開始直後、ないし、10秒後位から大きくなり、1.0〜1.5分で停止した。血圧はクロロホルム吸引開始後10秒位から低下し、呼吸停止時にはほとんど0となった。飽和濃度のクロロホルムを40〜50秒吸入させたイヌは、その後回復したが、刺激に対する反応はクロロホルム吸入停止後10〜15分位は見られなかった。このことから、クロロホルム吸引時の死因は、呼吸中枢と心臓に対する抑制作用で、クロロホルムを浸したタオルなどを鼻口部に40〜50秒押し当てると、その後、少なくとも10〜15分は、被害者は無抵抗状態になることが示唆された。トリクロルエタンはクロロホルムよりは呼吸中枢及び心臓に対する抑制は稍弱いものの、クロロホルムとほぼ同様の作用を示し、40〜50秒の呼吸で少なくとも10分位は無抵抗状態になることが示唆された。クロロホルム及びトリクロルエタン吸入で死亡したイヌで、それらの血中及び脳、肝臓、腎臓中の濃度は、これまでのヒトでの中毒死例での値の上限にあったことは、クロロホルムやトリクロルエタンの血中及び臓器濃度が高い値のものは、吸入中又は吸入直後に死亡したことを示唆するものと考えられた。
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Research Products
(1 results)