1997 Fiscal Year Annual Research Report
培養糸球体上皮細胞伸展系の確立-糸球体硬化症の成因研究
Project/Area Number |
07557245
|
Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
中尾 彰秀 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10159056)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 茂夫 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (50188380)
|
Keywords | 糸球体上皮細胞 / 伸展刺激 / 糸球体硬化 / 糸球体高血圧 / 進行性腎障害 |
Research Abstract |
腎糸球体は、メサンジウム細胞、血管内皮、糸球体上皮より形成されるが、この糸球体係蹄の特殊な構造により、1日140Lもの血漿を濾過が可能となっている。この大量の濾過機能において糸球体上皮細胞の果たす役割は重要である。通常の毛細血管では10数mmHgの静水圧しか耐えられないが、糸球体毛細血管は特殊な形態と機能を有する糸球体上皮のために50mmHgもの静水圧に耐えられる構造となっている。一方、進行性腎障害の機序としてHyperfiltration theory、あるいは糸球体高血圧症説が唱えられており、培養メサンジウム細胞を用いて進展張力が加わったときのメサンジウム細胞の影響が検討されている。我々は、この特殊な糸球体上皮とメサンジウム細胞の相互関係の解明、また糸球体上皮細胞に生理的以上の張力が加わったときの上皮の変化を解明するため以下のような実験を行った。前年度までに我々は、糸球体上皮の培養系(Nosaka et al.Kidney Int.1993)を用いて、上皮細胞と培養メサンジウム細胞の相関を検討し、培養上皮細胞はメサンジウム細胞の増殖を抑制する物質を産生していることが明らかにした。更に今年度は以下の結果を明らかにした。 1。 培養上皮細胞は系代が困難なため株化することを試みた。を用いて系代可能な糸球体上皮が得られ、その細胞は糸球体上皮特異的なモノクローナル抗体で染色され、一方メサンジウム細胞や内皮特異的抗体では染色されず糸球体上皮であることが確認された。 2。 上記の培養糸球体上皮をコラーゲンコートしたラバー底の培養dishで培養し、進展張力を加えたところ、TGF-βのmRNAの発現が増強した。 これらのことより、糸球体上皮細胞は通常ではメサンジウム細胞の増殖を抑制し、過進展が加わったときには、TGF-βの産生が増加し、線維化の機転がはたらき始めることかが推測された。
|
-
[Publications] Akihide Nakao: "cAMP mediateshonologans douinreyrkition of PAF ceceptorm RISA expresion in mesuagal cells" American Journal of Physiology. 273. F445-F450 (1997)
-
[Publications] Akihide Nakao: "Long-term effect of LTB_4 antgonist on lipid induied renal injury" Kidney International. 52-S63. S236-S238 (1997)