1996 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルムス腫およびその瘍前駆病変Nephrogenic Restの動物モデル作成実験:-発癌桟構に関する分子生物学的.病理組織学的研究への応用-
Project/Area Number |
07557266
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横森 欣司 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (20251291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 慎一 帝京大学, 医学部(病), 教授 (60173259)
上井 義之 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70177567)
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Keywords | ウイルスム腫瘍 / ENU / 化学発癌 / 腎癌 / 腎移植 / 前駆病変 / WT1 |
Research Abstract |
(1)経胎盤化学発癌実験:N-ethy-N-nitrosourea(ENU)によるラット腎発癌実験の手技に関しては、妊娠中の腹腔内投与にもかかわらず全例において妊娠継続および予定日における自然分娩がみられ、安定した手技として確立された。交配も、同種近交系ラット間および異種近交系ラット間で、ともに問題を生じなかった。フィッシャー344・ラット同系統ペア(二組)、フィッシャー344・ラット(メス)とブラウンノルウェー・ラット(オス)異系統ペア(二組)、フィッシャー344・ラット(メス)とルイス・ラット(オス)異系統ペア(二組)の交配妊娠後にENU(80mg/Kg体重)の腹腔内投与を行なった。F1世代のハイブリッド・ラットは 50匹が生存・発育した。これらF1世代は、全例に4〜7ヶ月の間に中枢神経麻痺(45匹)や後腹膜腫瘍(3匹)あるいは顔面肉腫 病変(2匹)が出現したので、死亡直前に屠殺後、両側腎臓を摘出し長軸で2分割してその割面の肉眼的変化を観察後に、病理学的検索用にホルマリン液で固定保存した。肉眼的観察ではF1ハイブリド2匹に径2mm大の結節性病変を認めたのみで、今後病理組織学的検索を行う。 (2)ラット腎移植術式の検討:腎移植手術の手技的側面については、いくつかの検討課題が今後の問題として残った。その一つは、肉眼下に腎動静脈にそれぞれカフごとはめ込み固定する血管カフ連結術(cuff technique)による移植と、顕微鏡下血管吻合(microscopic vascular anastomosis)による移植のどちらが容易で高い生着率を挙げられるか、という問題であった。もう一つは 顕微鏡下血管吻合法においても、ドーナー腎の動静脈を顕微鏡下にレシ-ピェント腹部大動静脈あるいは左大腿動静脈に吻合する異所性腎移植術とレシ-ピェントの左腎を摘出後、その腎床にドーナー腎の動静脈を行う同所性腎移植とのどちらが本実験に適しているか、という点であった。血管カフ連結術15組、顕微鏡下血管吻合による同所性腎移植22組、顕微鏡下血管吻合によ腎移植術22組の2術式により同所性腎移植の成績を比較したが、顕微鏡下血管吻合法の方が成績が良好であった。顕微鏡か異 性腎移植術も10組に試みたが正常な移植腎生着は1例も得られなかった。今後、血管吻合術による同所性腎移植術の更なる 熟・向上が必要だと思われた。 (3)病理組織学的検討:現在、摘出ENUヒット腎の病理組織学的検討(ヘマトキシリン・エオジン染色下に、nephrogenic res あるいはWilms腫瘍の小結節の有無の検索)の最中であり、全部の腎組織検索を終了するのに約3ヵ月間を要する見込である。 (4)分子生物学的検討:WT1遺伝子、LOHの有無等の分子生物学的検索に関しては、腎移植術式末確立のために十分量の腫 組織や前駆病変組織が得られず、研究年度内には結論を出すことが不可能となった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K.Yokomori: "Flowcytometric nudear DNA content analysis of renal tumors in children" Tumor Biology. 16. 385-393 (1995)
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[Publications] K.Yokomori: "Infrequent mutations of the TP53 gene and no amplification of the MOM2 gene in hepatoblastomas." Genes,Chromoscmes & Cancer. 15. 187-190 (1996)
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[Publications] Kamii,Y: "Effects of CPT-II on a human rhabdomyo sarcoma in nude meceardin wlteu" Int.J.Pedeatr.Hematol/Oncol. 13. 201-205 (1996)
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[Publications] S.Hirabayashi: "A Spheno-orbital encephalocele with unilateral exoph thalmos." Ann Plasl Sung. 36. 410-412 (1996)
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[Publications] O.Hino: "Suppresion of the neoplastic phenotype by replacement of the Tsc2 gene in Ecker rat renal cell caranoma cells" Biochem.Biophys Res Commun.219. 70-75 (1996)
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[Publications] O.Hino: "Identification of a novel proteen(VBP-1)bindeng to the VonHipper Lindau(VHL)tumor Luppressor gene produet." Cancer Res. 56. 2851-2855 (1996)
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[Publications] 横森欣司: "泌尿器悪性腫瘍治療ハンドブック" 新興医学出版社, 235 (1995)