1997 Fiscal Year Annual Research Report
IL-2レセプターγ鎖抗体を用いた小腸移植と脂質過酸化物によるモニタクレグの試み
Project/Area Number |
07557356
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
舟山 裕士 東北大学, 医学部・付属病院, 講師 (50192315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 高行 東北大学, 医療技術短期大学部, 教授 (00113910)
中村 正孝 東京医科歯科大学, 教授 (30180392)
佐々木 巌 東北大学, 医学部, 助教授 (60125557)
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Keywords | 小腸移植 / 拒絶 / 活性酸素 / 脂質過酸化 / IL-2レセプター |
Research Abstract |
1.移植腸管内浸潤リンパ球サブセットおよび接着分子発現の部位的検討 【方法】経時的に屠殺し摘出したgraftをPLP固定後凍結切片上で免疫組織学的に各種リンパ球サブセットおよびICAM-1、LFA-1につき発現部位の相違につき検討した. 【結果】MHC classII抗原(Ia)は拒絶群で早期に粘膜固有層および陰窩上皮に発現した.ICAM-1は対照群と異なり血管内皮および間質細胞に強く反応し拒絶後期にはむしろ反応性は低下した.LFA-1は元来白血球の表面抗原であるが拒絶群の血管内皮にも一部反応性がみられた.特に、拒絶時には血管内に接着し凝集像を示す白血球に強い陰性像がみられた. 2.小腸保存と粘膜バリア 【方法】移植前に1,4,8時間のEuro-Collins液または生食液にて冷保存したgraftで移植後のbacterial translocationを血中エンドトキシン濃度で検討した. 【結果】Euro-Collins液で保存したgraftでは血中エンドトキシン濃度の上昇はみられなかったが、生食液で保存した群では8時間保存群で血中エンドトキシンは高値を示した.従って、短時間の保存であれば生理食塩水で十分と考えられたが、保存時間は4時間を超えるべきではないと考えられた. 3.移植におけるPCOOH(過酸化リン脂質)の白血球刺激作用について 【方法】30分阻血、再灌流30分後の小腸においてLTB4拮抗剤、allopurinolを前投与し粘膜障害について検討した. 【結果】LTB4拮抗剤、allopurinolの両者において粘膜障害を抑制したが、PCOOHの産生はallopurinolの前投与群でのみ抑制された.PCOOHの過酸化に関わるラディカルは白血球に由来すると従来いわれていたが、むしろキサンチンオキシダーゼ系でありPCOOHは粘膜障害産物由来というよりは白血球活性化因子の一つであることがこの実験から明らかとなった. 【研究のまとめと今後の展望】小腸移植における拒絶では早期にClassII抗原の発現とともに血管内皮上にICAM-1の発現があり、第1相とともに白血球の活性化が起こることが明きらかにされたが、それとともにPCOOHが白血球の強い活性化因子であることが判明した.PCOOHは拒絶のモニタリングに有用であるばかりでなく、PCOOH産生を抑制することにより拒絶による粘膜障害を軽減する効果があることが期待される.
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[Publications] 増子 毅: "閉塞性黄疸時の急性胃粘膜障害発生の病態について-とくに胃粘膜の脂質過酸化の面から" Ulcer Research. 23. 195-197 (1996)
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[Publications] 増子 毅: "ラット小腸虚血再灌流障害における脂質過酸化反応の関与" Cytoprotectron & Biology. 14. 35-37 (1996)
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[Publications] 佐々木巖: "閉塞性黄疸時の急性胃粘膜障害発生の病態における胃粘膜過酸化脂質とグルタチオンの関" Therapeatic Research. 17. 109-112 (1996)