1996 Fiscal Year Annual Research Report
偏差値に代わる新しい評価理論の作成とその実用ソフトウェアの開発
Project/Area Number |
07558147
|
Section | 試験 |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
佐藤 恒雄 千葉大学, 理学部, 教授 (60009371)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 正実 千葉大学, 理学部, 教授 (00041244)
吉田 英信 千葉大学, 理学部, 教授 (60009280)
田栗 正章 千葉大学, 理学部, 教授 (10009607)
野澤 宗平 千葉大学, 理学部, 教授 (20092083)
中村 吉邑 千葉大学, 理学部, 教授 (90110270)
|
Keywords | ヒューレ / ヒューレ値 / 力の習熟度 / 新しい評価法 / 生徒の個性 / 生徒の適性 / 偏差値 / 個性値(適性値) |
Research Abstract |
目的:私達のグループが作成したヒューレ値による評価法に対して以下の実験を行った。今年度の目的は2つで I.その評価法に対する協力校への実験報告と評価法の改良・改善の討議討論を行う。また、各種の数学教育学会での発表を行う。 II.次の疑問が解決できる評価法を作成する。 (1)ある数学のテスト(5問、100点満点)を行ったとき、A君は3問のみを正確に解答し60点を得た。B君は各問の導入の問題のみを解いて部分点として65点を得た。このとき、この二人の数学の力は本当はどちらが上であると評価できるか? 私達の経験上からは、A君の方が上であると思われるが? (2)ある数学のテストで30点を取った生徒が6人いた。得点評価(現状の評価)ではこれらを同じ集団として捉えるが、これらは同じ問題の同じところで、同じように得点したのであろうか? そうとは限らないはずである。それでも、これら6人と同一の指導を受けることになるが、果たして適切な指導といえるかどうか? 経過:全国の高校から、30校を選び、それらの高校の数学科または進路科に研究の主旨を説明し、高1のテスト実施の協力を依頼したところ、25校(7,500人)が協力を申し出てくれた。 1.平成7年10月〜12月 第1回テストの実施:数1-2次関数(50分)、数A-式と数(50分) 2.平成7年11月〜平成8年1月 データ集計 3.平成7年12月〜平成8年2月 データ分析 4.平成8年5月〜7月 第2回目テストの実施:数I-図形と方程式(50分)、数A-数列(50分) 実験の結果と分析:7500名の得点とヒューレ値から次の結果を得た。 ヒューレ値の低い方から高い方へと生徒個々の人の値をプロットしたものに、そのヒューレ値を持つ生徒の得点を記した曲線C1と、この曲線C1のヒューレ値と得点を逆にとってプロットした曲線C2を作った。曲線C2のグラフから、同じ得点を持つ生徒でもヒューレ値は異なり、その変動はほぼ周期的であることが明らかにされた。このことは、同じ得点であっても、問題解決力が異なっていることを示している。 最初に述べた疑問点(1)、(2)に対する答えは、この二つのことから読みとることができる。すなわち、得点は低くてもヒューレ値が高い生徒もおり、その逆もあり得るのである。本来、この事象は意識されてはいたが、なかなか現実の評価として捉えることがなされていなかった。このように、ヒューレ値による評価は、日頃経験している状況を正確に反映しているといえる。滑らかな曲線C1のグラフは集団の学習内容の定着度の伸びを表していると読みとれる。曲線C1は私達が日頃抱いている生徒の数学の力の伸びが指数関数的に近いことであることを示唆している。 実験の結論:以上のことから、結論としてヒューレ値による評価法は従来の得点による評価法より精度が高く、はるかに情報量の多い方法といえる。また、個々の生徒のレーダグラフを15000個作り、実験協力校に報告に行き、またこれらの結果に対して現場の高校の先生方と討議討論した。新評価方に対する先生方の関心度は非常に高く、建設的な意見が出され今後の研究に有意義であった。
|
-
[Publications] S.Nozawa and D.ALVIS: "Sharp characters with irrational values" Journal of the Mathematical Society of Japan. 第48巻第3号. (1996)
-
[Publications] H.Yoshida: "A type of uniqueness for the Dirichlet problem on a half-space with continuous data," Pacific J.Math.172. 591-609 (1996)
-
[Publications] H.Yoshida,I.Miyamoto,: "Solutions of the Dirichlet problem on a cone with continuous data" Journal of the Mathematical Society of Japan. 5(1)(to appear). (1998)
-
[Publications] T.Inaba and P.Walczak: "Transverse Hausdorff dimension of codim-1 C^2-foliations" Fundamenta Mathematicae. Vol.149. 239-244 (1996)
-
[Publications] M.Kurano,M.Yasuda,J.Nakagami,Y.Yoshida: "Markov-type fuzzy decision processes with a discounted reward on a closed interval," European Journal of Oprational Research.Vol.92. 649-662 (1996)
-
[Publications] M.Nagisa: "C^*-環の自由積のstable rank" 数理解析研究所講究録. (to appear).