1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07558252
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩田 博夫 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助教授 (30160120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 一知 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90168435)
筏 義人 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00025909)
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Keywords | バイオ人工膵臓 / アガロース / 膵ランゲルハンス島 / イヌ / 同種移植 / ブタ / 異種移植 |
Research Abstract |
アガロースマイクロカプセルに膵ランゲルハンス島(ラ島)を封入したバイオ人工膵臓の開発研究を進めてきた。本研究では、バイオ人工膵臓の臨床応用に向けての有効性評価を行うために、体重がヒトに近い実験動物であるイヌをレシピエントに用いてその有効性を実証するとともに臨床応用時に生じる問題を明らかにし、それらの解決を試みている。膵臓を全摘して作成した糖尿病犬をレシピエントとし、アガロースマイクロカプセルに封入した同種ラ島を移植し、その後の血糖値変動を追跡した。 第1例目の糖尿病レシピエント犬は、マイクロカプセル化ラ島移植前は、6U/dayのインスリンを投与しても空腹時血糖値が400mg/dlを上回る糖尿病状態であったが、6頭のドナー犬より採取した総計41,400(IE)個のカプセル化ラ島を移植し終えた時点から、28日間空腹時血糖値が100-172mg/dlの範囲に保たれるようになり、レシピエント犬はインスリン注射が不要となった。しかし、移植後28日目に、移植に用いた留置カテーテルからの感染により死亡した。第2例目は、移植用カテーテルの長期間留置に伴う感染症予防のために、皮下挿入部に幅10mmのダクロン製フエルトのバンドを装着する工夫を行った。総計122,000(IE)個のカプセル化ラ島を注入した時点で、移植前には、6-8U/day必要としたインスリン注射投与から、0-2U/dayのインスリン注射投与で空腹時血糖値が88-196mg/dlの範囲を推移するようになり、大幅なインスリン投与量の減少をみている。 バイオ人工膵臓でも他の臓器移植と同様にドナー不足が問題である。ブタラ島を用いたバイオ人工膵臓の開発は研究者の夢である。ブタラ島を用いたバイオ人工膵臓開発のためには、ブタ膵臓からのラ島単離方法の開発と免疫隔離膜の新たな開発が望まれている。本研究では、外分泌自然脱落法による簡便なブタラ島の分離法の開発を進めている。また、再度工学的な視点より免疫隔離膜の再検討を進め、従来の透過性のみの制御では異種移植に適用できる免疫隔離膜は開発出来ないことを明らかにしつつある。
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Research Products
(1 results)