1995 Fiscal Year Annual Research Report
表面化学反応を用いた高均質高レーザー耐力誘電体多層膜作成法の開発
Project/Area Number |
07558286
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山中 龍彦 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 教授 (80107143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
實野 孝久 大阪大学, レーザー核融合研究センター, 助教授 (30162811)
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Keywords | 光学薄膜 / 表面化学反応 / トリメチルアルミニウム[Al(CH_3)_3] / 自己停止機能 |
Research Abstract |
前年度までに,表面化学反応によって得られた薄膜は以下の特徴を有していた.(1)供給導入ガスのサイクル数によって膜厚が正確に制御される,(2)直径12cmの広範囲に亘って±1%の精度で一様に成膜できる.以上から大口径の光学部品に対する精密なコーティングを容易に行うことが可能であることが判明した. 本年度はガス導入圧,基板温度における影響を明らかにすると共に薄膜の成長過程について研究を進めた.有機化合物であるトリメチルアルミニウム[TMA:Al(CH_3)_3]ガスの導入圧を変化させても薄膜の成長速度は変わらないが,酸化剤である過酸化水素[H_2O_2]の場合は,導入圧を増加するに従い成長率も増加した.これはTMA材料は自己停止機能を持つため1原子(分子)層ずつ基板に付着するが,H_2O_2は過剰になるとAl原子を過剰に酸化することを示している. 基板温度の影響を調べた結果,温度を上昇するに従い屈折率が増加することが判った.低い基板温度の時は基板面上で導入ガスが凝縮して,基板面上でクラスター状態になり多孔質の薄膜を成長するためである.比較的緻密な膜を得るためには,温度を上げ基板面上で再蒸発を起こしながら成長しなければならない. 成膜サイクル数をかえて得られた(膜厚が異なる)薄膜の表面状態を原子間力顕微鏡によって観察した.その結果,サイクル数が少ない時はいくつかの島状の薄膜を形成し,サイクル数が増加するに従って,島と島の間も埋まり一様な薄膜となることが判った.つまり,1サイクルでは基板表面を完全に1分子で覆うことはできていないことが判った. 以上の結果より,表面化学反応による薄膜では,TMAを用いる場合には酸化剤の導入圧と基板温度を制御するだけで,再現性のある膜厚,屈折率,一様性が得られることが明らかになった.
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