1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610098
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Research Institution | HOKKAID UNIVERSITY |
Principal Investigator |
篠塚 寛美 北海道大学, 文学部, 教授 (30000615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神 信人 淑徳大学, 社会学部, 講師 (30296298)
永田 素彦 北海道大学, 文学部, 助手 (60271706)
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Keywords | 集団間コンフリクト / ダブルジレンマ / 社会的ジレンマ / 社会的動機 / 集団ヒューリスティックス |
Research Abstract |
平成9年度は、個人-集団不連続性における認知的枠組みの効果についての実験研究を中心に行った。競争傾向の個人-集団不連続性は、個人間の相互作用と集団間の相互作用を比較した場合、集団間の方がより競争的・敵対的になりやすいという現象のことであり、集団間コンフリクトにおける激烈な相互攻撃の一因と目されている。この不連続性研究は、従来、個人による意思決定と集団意思決定の比較という方法により検討されてきた。しかし、このような個人間相互作用と集団間相互作用の比較では、各個人が直面する利得構造が異なり、厳密な意味での実験統制が困難である。また実験結果において集団意思決定が高い競争傾向を示したとしても、この結果が合議などの集団内相互作用から生じたいわゆる成極化現象なのか、あるいは各成員がその状況を「集団間相互作用」であると認知するだけで生じたのかを区別できない。この問題を解決するために今回採用した実験手続きは、全く同じ利得構造で個人的決定を行うダブルジレンマ状況を設定し、その状況に個人間相互作用という認知枠組みを与える場合と集団間相互作用という認知枠組みを与える場合で、どのように個人の行動が異なるかを検討するものである。実験の結果、集団への所属意識を持った被験者は、集団間相互作用という認知枠組みをあたえられるだけで、競争的に行動することが明らかにされた。民族など現実の集団ではほとんどの成員が何らかの所属意識をもっていることを考慮すれば、この実験結果は、集団間相互作用という認知枠組みだけでも集団間コンフリクトを促進する要因となりうることを示している。
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