1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07610182
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 寛 九州工業大学, 工学部, 教授 (10037004)
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Keywords | 匿名性 / 社会ネットワーク / ネットワーク密度 / 都市化 |
Research Abstract |
平成7年度の主たる作業目標は、(1)匿名性をネットワーク構造特性として概念化すること、(2)ネットワーク研究のうち、特にネットワーク生成に関する研究をレビューすること、(3)人口を外生変数とし、社会構造をつくりだすいくつかのパラメータを用いて都市の社会ネットワークの生成理論を構築すること、にあった。 (1)については、匿名性をネットワークの連結の様式を表すいくつかの指標によって表現することにした。例えば、密度、最大距離、構造中心化度、クリーカリティ、中心性分散不均質度、クリーク分布不均質度などを準備した。(2)については、シカゴのモデル、オランダモデル、弱紐帯に関する動的モデルなどを吟味した。これらは方法的に示唆的であるが、(3)の研究に関連では、社会心理学的あるいはソシオメトリックなものがほとんどで、社会構造生成には不十分である。そこで(3)の課題に関しては独自の工夫が必要で、現在作成中の理論モデルとコンピュータプログラムのスケッチは次のようなものである。人口Nを3つのサブクラスに区分する。規模が大きいほど第3のクラスの規模が大きいとする。第2のクラスの構成員は婚姻原理と職域原理と地域原理によって結合する。第1のクラスは第2クラス構成員にたいしてその親としての結合をし、自らの職域結合と地域結合をする。第3のクラスは第2クラスの子世代として第2クラスに結合し、職域・学校域の結合をもつ。職域と地域での個人の結合数は一定とする。両者はクリーカルなバイアスをもつものとして、互恵性パラメータとシブリングパラメータを想定する。このような条件で生成されたネットワークについて、内部の社会関係の異なる文脈を捨象し、(1)で定めた構造特性変量(匿名性の指標)を測定する予定であるが、これは次年度の課題である。
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