旧ソ連諸民族分離・結合の歴史的研究

1996 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 07610379
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: Yokohama National University
• Principal Investigator: 木村 英亮 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (70012391)
• Keywords: ソ連解体 / CIS / ロシア人 / 中央アジア / 名称民族 / 移住 / 歴史の見直し / 分業体制

Research Abstract

昨年度に引き続き、ロシア、中央アジアなどCIS諸国で刊行された文献、資料をかなり集めることができ、また、ロシア、カザフスタン、ウズベキスタンなどの研究者との交流を進めることもできた。
本年度は、これらを土台として、まず中央アジアにかんして、歴史的背景と最近の状況について若干まとめ、刊行することができた。研究を通じて、この地域にかぎっても、ぞれぞれの国がもっている特徴がいっそうあきらかになった。共通点としては、突然のソ連全体として形成されていた分業体制の崩壊が、市場経済への移行にともなう混乱とあいまって、生産の大幅の低下をまねいたこと、自立経済形成の努力とともに、経済的結合の一定の回復の必要性も自覚されてきていることをあげることができるように思われる。
また、ソ連解体さいロシア以外の各国に2500万人のロシア人をはじめ名称民族以外の多くの民族が残されることになった。独立した名称民族は、歴史の見直しや民族語の公用語化を通じてアイデンティティを確立しようとしているが、この裏側として、それ以外の民族の大量の移住もまた、混乱を招いており、この面からも、CISレベルでのアイデンティティの形成も必要と考えられる。現在この問題について、まとめており、近く論文化する予定である
来年度は、以上の点に、地域としてカフカ-ス、ロシア連邦内部の諸民族の問題をふくめ、テーマにそって大きくまとめていきたい。

Research Products

• [Publications] 木村英亮: "日ソ国交回復四○周年によせて" 歴史評論. 9月号. 107-108 (1996)
• [Publications] 木村英亮他: "中央アジア経済研究視察報告" ロシア・ユーラシア経済調査資料. 12月号. 10-11 31-32 (1996)
• [Publications] 木村英亮他: "中央アジアを読み解く(清水学らと座談会)" アジ研ワールド・トレンド. 1月号. 2-25 (1997)
• [Publications] 木村英亮: "チェチェン問題とは何か" 歴史地理教育. 2月号. 16-21 (1997)
• [Publications] 木村英亮他: "中央アジアの市場経済化" アジア経済出版会, 220 (1996)
• [Publications] 木村英亮他: "中央アジアにおける市場経済化の現状と展望" アジア経済研究所, 160 (1996)