1995 Fiscal Year Annual Research Report
前期旧石器時代の石器技術伝統の解明-袖原3遺跡と上高森遺跡の比較研究を通じて
Project/Area Number |
07610406
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku Fukushi University |
Principal Investigator |
梶原 洋 東北福祉大学, 社会福祉学部・社会教育学科, 助教授 (80161040)
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Keywords | 埋納遺構 / 箆状の両面加工石器 / アシューリアン / チョパ-・チョピングトラール / 石材 / 移動 / 補給 |
Research Abstract |
今回の調査では、50万年前よりも古いと年代測定されているKs-1(倉の沢第一テフラ)の下層で、B地点のA-3区から新たに2カ所の埋納遺構が発見された。No.1は、45×25cm、深さ10cmの楕円形のピットで、中からは10点の箆状の両面加工石器と尖頭器1点、その他3点が放射状に並んで発見された。No.2の埋納遺構は、20×20の円形の穴で、3点の箆状石器が出土した。この他3カ所の集中地点から12点の箆状石器が発見され、合計30点となった。この他に、性格不明の土坑が一つ見つかっている。 今回と前回発見されたこの埋納遺構は、原人の段階では世界初の発見であり、欧米で有力な原人の能力を低くみる考え方に変更を迫るものである。ある種の美意識、視覚的な象徴性、将来に対する計画的な行動、抽象的な観念をすでに原人が持っていたことを強く示唆するものである。また、いわゆるアシューリアン文化とチョパ-・チョピング文化という原人段階の二大文化圈説も否定される可能性が強い。 石器群の形成についても激しい移動生活と石材の産地の偏りによる必須装備の補給に伴うリスクを減らすため、補給地点を設けていたことが明らかにされつつある。石材を獲得した段階で、適宣製品やその未製品に加工し持ち歩き、それを移動中に使用すると同時にその場で刃部の再生を頻繁に実施し、さらに要所に貯蔵もしくは埋納する行動が推定できる。この詳細については、考古学協会の春季大会で発表する。
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Research Products
(2 results)