1997 Fiscal Year Annual Research Report
前期旧石器時代の石器技術伝統の解明-袖原3遺跡と上高森遺跡の比較研究を通して
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07610406
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Research Institution | TOHOKU FUKUSHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
梶原 洋 東北福祉大学, 社会福祉学部, 助教授 (80161040)
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Keywords | 袖原3遺跡 / 袖原第1軽石 / 第4文化層 / 第7文化層 / 201点の出土石器 / ハンドアックスとクリーバー / 補給の場としての遺跡 |
Research Abstract |
今年度の調査では、袖原第一軽石の下の第21層上面(第4文化層)から、4ヶ所のまとまりとして合計30点、32層(第7文化層)では径1.5mのまとまりから12点、合計42点の石器が発見された(図2)。これで文化層(生活面)は合計8枚となった。出土石器の内訳は第4文化層では、箆状の石器が8点(図4の1,2,7)、スクレイパ-が6点(図4の4,6)、尖頭器が6点(図3の6,7,8、図4の3)、楔形石器2点、ノッチが1点、鋸歯縁石器1点、錐1点(図4の5)、剥片3点、石刻1点、その他1点(図3,3-8,図4,1-7)、第7文化層は、鋸歯縁石器1点、楔形石器3点、スクレイパ-2点、頁岩製の両面加工箆状石器1点と大形の箆状(クリーバー状)の石器1点(図4-8)、剥片4点の合計12点である。これまでの調査により、第1文化層から103点(図3,1-5)、第2文化層から18点、第3文化層7点、第4文化層36点、第5文化層5点、第6文化層17点、第7文化層12点、第8文化層が3点、合計201点の石器が発見されており、文化層の数と石器の点数では、これまで発見された前期旧石器遺跡中随一である。 袖原3遺跡では、石器製作の痕跡が見られないばかりでなく、残された石器は使用に耐える剥片や二次加工された石器ばかりであった。このような傾向は、袖原に限らず、これまで調査された宮城県、福島県などの東北地方の前期・中期旧石器時代の遺跡に共通する。この事は、遺跡が単なる生活の不要品が遺棄された場ではなく、移動の激しさによる負担を軽減するため、遺跡が補給の場として利用されていたことを強く示唆するものであろう(梶原1997)。また、7文化層(32層)から第1文化層(12層)まで連綿と発見されているハンドアックスとクりーバーに類似する箆状の石器(図3の1,図4の)については、上高森遺跡や竹ノ森遺跡などを含めて最近さまざまな議論がなされている(梶原同上)。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 梶原洋: "考古学からみた日本列島最古の人類と文化" 岩波書店・科学. 67. 358-369 (1997)
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[Publications] 梶原洋・他: "山形県尾花沢市袖原3遺跡の第3次調査" 日本考古学協会第63回総会・研究発表要旨. 43-47 (1997)
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[Publications] 梶原洋・他: "1996年度ロシア共和国ウスチ-ノフカ遺跡における第5次日ロ共同調査の成果について" 日本考古学協会・第63回総会・研究発表要旨. 121-124 (1997)
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[Publications] 梶原洋・イ-ゴリ=シェフカム-ト: "極東・沿海州の出現期の土器・ゴンチャールカ1遺跡の発掘調査" 考古学研究. 第49巻・第3号. 102-117 (1997)
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[Publications] 梶原洋・他: "山形県・袖原3遺跡" 第11回東北日本の旧石器文化を語る会. (研究発表要旨). 75-80 (1997)
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[Publications] 梶原洋・他: "1997年度ロシア共和国ウスチノフカ遺跡における東北福祉大学とロシア科学アカデミーによる共同調査の成果について" 第11回東北日本の旧石器文化を語る会. (研究発表要旨). 105-108 (1997)