1995 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者介護福祉システム財源についての国際比較研究-日・英・独・端を中心として
Project/Area Number |
07630055
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
武田 宏 日本福祉大学, 社会福祉学部, 助教授 (70179646)
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Keywords | 高齢者介護 / 福祉財源 / ホームヘルプ / 地域財政 / 社会保険 / 介護保険 / 措置費 / スウェーデン |
Research Abstract |
1.わが国では高齢化の進展に対応した社会的介護システムが要求される。これまで特別養護老人ホームなど施設福祉やホームヘルプなど在宅福祉サービスにより対応してきたが、これらのサービスはその財源を国・自治体の一般財源を中心とする。しかし介護福祉サービスの絶対数の不足のため医療機関における長期療養形態での施設介護が広く行われてきた。高齢者介護ニーズは今後急速に拡大するため、その財源政策が求められている。 2.高齢者介護福祉システムの財源については、それを地方自治体財政に依拠するスカンジナビア型・イギリス型と社会保険方式によるドイツ型に区分される。 (1)スカンジナビア型の典型であるスウェーデンは医療はランスティング(県)、住宅・介護福祉サービスは基礎自治体であるコミューンが提供し財源もコミューン財政を中心としている。高水準の介護福祉サービスを維持しているものの、1990年代以降の経済危機と国・地方の財政緊縮のもとでサービスの重点化・料金制度導入などの政策や、サービス組織と権限・予算の地域分権をはかりサービスの「効率化」をすすめる自治体が拡大しつつある。イギリスはスカンジナビア型と同様に地方自治体が介護サービスを提供しているが、1980年代の地方税財政改革による地方財政弱化のため、介護ニーズに応じた財源確保が困難となっている。 (2)ドイツでは1995年より社会保険方式の介護保険(在宅介護給付)が導入された。しかし、医療保険による訪問看護や家族介護者への労災保険での手当など他の社会保険や、地方自治体の社会扶助によって補完されている。 3.なお、筆者は研究目的である国際比較研究のてがかりとして国の高齢者介護福祉財政システムの歴史的経緯、現状と課題について『高齢者福祉の財政課題-分権型福祉の財源を展望する』として刊行した。
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Research Products
(1 results)