1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07640607
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
浜本 礼子 九州大学, 理学部, 教務員 (40089917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 哮 九州大学, 理学部, 教授 (90037234)
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Keywords | Nd / Sm / Nd同位体比 / 遠洋性堆積物 / 希土類元素 |
Research Abstract |
今年度は岩石試料からの希土類相互の分離、とくにNd,Smの分離の改良を行った。 希土類は(1)岩石中には極めて少量にしか存在せず,しかも試薬による分解が難しい鉱物中に含まれる,(2)化学的性質が極めて類似しているため,希土類相互の分離が難しい,(3)岩石試料間のNd同位体比の差は例えばMORBのNd143/144比で0.0001以下であるため測定精度を6桁の安定した測定を要求される,等の難しさがある。このうち(3)の質量分析計でのNd測定精度の改善については昨年度重点的に行い,ほぼ満足すべき状態にまで到達した。 今年度は日本の玄武岩の標準試料JB1とおなじ場所から九大当研究室において大量に岩石を採取し粉末にした試料KUB1を用いて化学分離の方法の確立を試みた。その中で特に以下の問題点の解決に努めた。 (1)アルカリ元素(特にNa,K,Ca),Fe,Baの除去のため,試料の分解後まずHC1でFe,アルカリを除去した後,HNO3でさらにアルカリを完全に除去するというように,手間と時間はかかっても分離の前半でまず岩石の主成分元素の分離除去を充分に行った。 (2)試薬からのcontaminationを極力少なくするため試薬、特に大量に使用していたHC1とヒドロキシイソ酪酸の少量化に努めた。そのため分離の各段階に使用する4種類のカラムを小型化し、それでもなおNd,Smの完全分離ができるよう、ICP分析で結果を確認しつつ実験を繰り返し、方法を改良した。 以上のように数々の努力を重ねた結果,まだ満足すべき状態ではないが使える状況にまでは到達した。しかし当初の予想よりはるかに分析方法の確立に時間がかかったため,遠洋性堆積物を分析し,その結果を報告するまでには至らなかった。
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