1995 Fiscal Year Annual Research Report
〓歯の多型現象にもとづく異歯亜綱二枚貝の進化古生物学的研究
Project/Area Number |
07640624
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松隈 明彦 九州大学, 理学部, 助教授 (90108647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 憲四郎 筑波大学, 地球科学系, 教授 (20110653)
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Keywords | 異歯亜綱 / 〓歯 / 多型 / 逆転 / 逆旋 / 対称性 |
Research Abstract |
異歯亜綱二枚貝Carditidae, Crassatellidae, Astartidae, Trapezidaの〓歯には以下の4型があることが分かった:(1)前側歯、主歯、後側歯全てが正常、(2)前側歯、主歯正常、後側歯逆転、(3)前側歯、主歯逆転、後側歯正常、(4)前側歯、主歯、後側歯全て逆転。 逆転の頻度は、250個体以上を検討したCarditidaeで0.3〜1.1%、Crassatellidae 0.3〜0.4%、Astartidae 0.8〜2.0%程度である。Trapezidaeについては、検討した18個体中1個体で逆転が見つかったが、標本数が少ないため頻度を出すには更に標本数を増やす必要がある。 Carditidae, Crassatellidae, Astartidae, Trapezidae, Cardiidae, Veneridaeで3,700個体以上を検討した結果、前側歯と主歯は常に伴って変化していること、後側歯の状態とは独立であることがわかった。このことは、前側歯と主歯の状態を決める遺伝子はただ1個であるか、あるいは、2個の遺伝子が同一の染色体上の近接した位置にあること、後側歯の状態を決める遺伝子は、前側歯、主歯の遺伝子とは異なる染色体上にあることを暗示している。 二枚貝〓歯の逆転と腹足類の逆旋性は、見かけ上類似した現象であるが、二枚貝の逆転が一般には部分逆転であるのに対して、腹足類では全逆転である。全逆転は、発生の初期、螺旋卵割の方向の逆転によって起こり、部分逆転は更に、発生が進み、器官の形態形成の過程で起こると考えられる。二枚貝に部分逆転、全逆転両方が見られ、腹足類では全逆転しか見られない理由は、前者が基本的には左右対称の体制を持ち、後者が非対称な体制であることによると考えられる。即ち、全逆転、部分逆転はどちらの分類群でも起こるが、対称な体制を持つ二枚貝では部分逆転個体の適応値が正常個体と大差がないのに対して、非対称な腹足類では、殻と軟体部のうち一方だけが逆転した個体の適応値がきわめて低くなることによると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 濱田直人: "キクザルガイ二枚貝に基づく進化古生物学的研究の可能性-殻鉱物に関する新知見と逆転現象研究の意義" 九州大学理学部研究報告地球惑星科学. 19. 93-102 (1995)
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[Publications] Matsukuma, A.: "Systematic revision of living species of Meiocardia, Glossidae and Glossocardia, Trapezidae (Bivalvia)" Mem. Mus. nat. d'Hist. nat.167. 75-106 (1995)
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[Publications] 矢部淳: "常磐炭田南部に分布する下部中新統椚平層の植物および軟体動物化石群" 地質学雑誌. 101. 532-548 (1995)
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[Publications] 矢部淳: "いわき市遠野町付近の古第三系と新第三系の層序関係" 国立科学博物館専報. 28. 31-46 (1995)