1997 Fiscal Year Annual Research Report
コオロギの産卵行動の日周リズムと行動発現機構の解析
Project/Area Number |
07640908
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
菅原 隆 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (00088874)
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Keywords | コオロギ / 産卵行動 / 日周リズム / アクトグラム / 卵巣除去 |
Research Abstract |
平成7年度に実用化したコオロギの産卵行動と歩行活動を同時に記録できる装置を用いて、平成8年度は正常な雌における日周リズムおよび羽化後の活動の発達の様子について解析した。平成9年度は、こうした活動に卵巣がどのように関わっているかを明らかにするために、卵巣除去手術を施した雌の行動を34日間にわたって記録し、正常な雌との比較を試みた。飼育および実験は、27℃、明暗周期12:12時間の条件下で行った。 1.羽化直後に卵巣を除去し、交尾させなかった雌の場合:(1)産卵行動は、羽化後3〜13日(平均8日)に開始された(正常な未交尾雌の場合は平均3.8日)。産卵活動の量は低く、日周性は明瞭でない。(2)歩行活動は、羽化後2〜3日目に非常に高く、また1日のうちでは暗期に活動が集中し、暗期開始後3〜4時間目にはっきりとしたピークが見られた。産卵・歩行活動のこうした特徴は正常な未交尾の雌と同じである。 2.羽化直後に卵巣を除去し、第1.2日目に交尾させた雌の場合:(1)産卵行動は羽化後3〜9日(平均5.6日)で開始された(正常な交尾した雌は平均3日)。開始後は産卵活動の量は高く、長期にわたって記録された。1日のうちの活動は、暗期に高かった。(2)歩行活動は、未交尾の雌よりも活動量が低く、日周性も不明瞭であった。産卵・歩行活動のこうした特徴は正常な交尾した雌と同じであった。 以上の実験から、羽化後の産卵活動の開始と、交尾によるその活発化の機構は、卵巣の有無には関係がないことがわかった。産卵活動の開始は、アラタ体ホルモンの分泌がピークになる時期に一致しており、このホルモンの支配下にある可能性が高い。この実験装置が有用であることがわかったので、今後はこの実験・解析方法を用いて、ホルモン支配の機構と、産卵活発化要因の作用機序を明らかにするつもりである。
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