1995 Fiscal Year Annual Research Report
血流中における減圧性キャビテーションの発生機構と気泡塞栓に関する研究
Project/Area Number |
07650213
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
辻野 智二 熊本大学, 教育学部, 教授 (80006197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 誠 東北大学, 医学部, 講師 (50239191)
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Keywords | キャビテーション / 気泡 / 血液 / 気泡塞栓 / 潜水病 / ガス拡散 / 流体工学 / 生体工学 |
Research Abstract |
潜水病に代表される減圧症は、潜水時における高圧環境条件下から常圧に戻る際、高圧下の生体中で溶解したガスが環境圧の低下により気泡となって発現し、細動静脈など末梢循環系障害を引き起こすものと理解されている。しかしながら、血液中における気泡の微視的生成、さらにその成長・発達に至る機構に関しては有用な知見がほとんど得られておらず、減圧症発生の物理的機構については不明な点が多く残されている。本研究では、まず既設の高液圧制御容器と小型三角柱のキャビテーションエキサイタ-を有する開放型チャンネルを組み合わせた加減圧型キャビテーションタンネルを製作した。この装置に、本年度購入した微細気泡観察装置およびコールターカウンターを組み入れ、高圧ガス飽和液体中における気泡生成から比較的大きなキャビティの形成に至るまでの様相の観測・解明を目的とする実験および理論的検討を行った。その結果、次のことが明らかにされた。 (1)6気圧の加圧条件で空気を飽和させた水中の気泡核の総数は、大気圧条件の場合と比して、約3倍に増加する。また、14気圧および30気圧加圧条件の水中の空気泡核総数は、大気圧と比較して、それぞれ4倍および9倍に達する。 (2)二酸化炭素を2気圧加圧飽和させた水中の核総数は、大気圧の空気泡核総数に比べて約5倍増大し、ガスの種類によって液中の気泡核数は著しく影響を受ける。 (3)キャビテーションタンネル内に置かれた三角柱周りのガス性キャビテーションの様相を、供試液体として5気圧空気飽和水を用いて、観察・検討した。このガス性キャビテーションは、蒸気性キャビテーションに比べて、極めて低流速といえる約1m/sで初生することが確認された。エキサイタ-近傍では、10数μの微細気泡が約1mmまで成長する過程が観察された。また、流速2・5m/sでは、三角柱エキサイタ-背後に長さ10mm程度のキャビティが発達する。 (4)拡散過程を考慮した気泡成長の理論的研究より、二酸化炭素気泡の成長率は、空気泡に比べて約1オーダ大きくなることが明らかにされた。
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Research Products
(1 results)