1997 Fiscal Year Annual Research Report
緩和ケア病棟における患者および家族の死の準備行動と行為空間の事例的研究
Project/Area Number |
07650731
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Research Institution | OYAMA National College of Technology |
Principal Investigator |
山本 和恵 小山工業高等専門学校, 建築学科, 助手 (10230541)
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Keywords | 緩和ケア病棟 / 死の準備行動 / QOL(生活の質) / 療養空間 / 病棟計画 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、緩和ケア病棟での患者と家族の行為の事例の収集を行い、具体的な行為と利用空間との関係を、建築計画学的に分析した。特に末期における病状変化と、精神的状況の変化は、急速なステージ展開が行われ、一般的な意味における療養空間の整備とは、この点に於いて特殊であることが明らかになった。病棟計画にはこの変化の視点を欠かすことは出来ない。 また、観察調査や短期間のヒアリングからでは得られないより深い知見を得るために、療養者ならびに家族による、闘病中の手記や日記などをテキストとして分析した。分析対象は緩和ケア病棟での手記を中心に、文人の闘病日記などを参考に加え、主に療養者の視点から語られる療養空間の記述や、空間の認識に関する記述について、時系列的変化を通して考察した。現場でのヒアリングや観察調査と合わせて、家族の視点、援助者としての医療者の視点を加え、多角的視点から末期における患者と家族の行為形態のモデルを提出することが出来た。 さらに、在宅での末期ケアの事例についても、家庭訪問と遺族アンケートにより、病棟での行動内容や精神状況、ケアの内容など、療養場所によらない末期での生活の典型を抽出するとともに、在宅ケアでの利点と欠点、今後の可能性について明らかにした。 以上のような多角的な分析アプローチにより、末期における死の準備行動とその期間の療養環境のあり方を探る上での、資料を得、病棟計画における指針の一端を示すことが出来た。
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