1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07650800
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岡村 清人 大阪府立大学, 工学部, 教授 (70005974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下尾 聰夫 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (10081374)
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Keywords | 複合材料 / セラミックス / セラミック繊維 / 炭化ケイ素 / 高温熱分解 / 微細組織 |
Research Abstract |
長繊維焼結型セラミックス系複合材料の合成に際して、強化繊維は市販のSi-Ti-C-O系繊維(商品名チラノ)が用いられた。この繊維は製作上、10%以上の酸素を含有しており、非晶質構造である。1300℃以上の高温で、炭化ケイ素(SiC)の粒成長が律速となる熱分解反応が起こり、一酸化炭素と一酸化ケイ素の無機ガスが発生し、繊維形状が変化し、引張強度が大きく低下する。しかし、我々はこの繊維を高温、酸素気流中で急速加熱して、繊維表面に酸化層を形成させることにより、高温熱分解が制御されることを提唱してきた。本研究を行うに当たって最初に、酸化被覆層が高温熱分解を抑制すること、被覆層の厚さが薄い程、抑制効果が大きいことを明確にした後、繊維の酸素含有量と酸素皮膜層による熱分解の抑制効果についての関連性を調べた。その結果、酸素含有量が低い程、酸化層による熱分解の抑制効果が大きいことを明らかにした。さらに、電子顕微鏡による繊維の微細組織観察そして微細組織をよく反映する比抵抗の測定を行い、酸化層により微細組織に変化がないことを明確にした。現在市販のチラノ繊維には酸素量が18%と13%があり、本研究では以上の結果から、13%の試料を使用した。まず、1300℃、酸素中、急加熱により酸化被覆層を形成させた後、この繊維の束を1700℃、アルゴン中でホットプレス装置を用いて、長繊維焼結型セラミックス系複合材料を合成した。その際、企業に協力していただいた。そして本年度購入した研究用試料多用途切断機を用いて、この得られた複合材料を薄片など各種の形状に切断し、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡観察を行い、表面や内部組織に繊維組織の粗大化等がないことを明確にした。また1300℃での酸化実験では酸化による質量の増加はほとんど観測されなかった。本年度の研究により、長繊維焼結型セラミックス系複合材料が合成できること、またこの複合材料が耐酸化性に優れていることを明らかにした。来年度は、各温度における酸化実験を行いその機構を明確にして、この複合材料がすぐれた耐環境特性を有することを明らかにしていく。
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[Publications] K.Kakimoto,T.Shimoo and K.Okamura: "The Oxidation Behavior of a Si-Ti-C-O Fibre with a Low Oxygen Content" J.Ceram.Soc,Japan. 103. 557-562 (1995)
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[Publications] M.Narisawa,Y.Itoi and K.Okamura: "Electrical Resistivity of Si-Ti-C-O Fibres after Rapid Heat Treatment" J.Mater.Sci.30. 3401-3406 (1995)
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[Publications] 岡村清人,下尾聰夫,瀬口忠男: "耐環境性複合材料の強化セラミック繊維の現状と今後の展開" ニューセラミックス. 8. 1-6 (1995)