1995 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化を介したウイルスの移行蛋白質と原形質連絡とのクロストーク
Project/Area Number |
07660064
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
池田 亮二 帝京大学, 理工学部, 助手 (60222907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 吉美 帝京大学, 理工学部, 教授 (30011703)
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Keywords | タバコモザイクウイルス / 30K蛋白質 / リン酸化 / 細胞間移行 / ウイルス移行蛋白質 |
Research Abstract |
タバコモザイクウイルス(TMV)の30Kタンパク質のセリン残基が燐酸化を受ける事が当研究室で明らかにされていた。(未発表) まずはじめにTMVが属するウイルス属であるtobamovirus属の30Kタンパク質のアミノ酸配列を比較し比較的属内で保存されているセリン残基を9つ選びだした。それらのセリン残基を各々燐酸化を受けないアミノ酸であるアラニン残基に変えた変異30Kタンパク質を発現する変異TMVを作成した。これらの変異TMVをタバコの培養細胞に感染させる事により、変異30Kタンパク質の燐酸化状況を検定した。結果として、N末より37番目と238番目のセリン残基が燐酸化を受ける事がわかった。また変異TMVのタバコ個体へ接種した結果、30Kタンパク質が燐酸化を受けなくなった変異TMVは増殖しなかった事から、燐酸化は植物個体におけるTMVの増殖に必須である事がわかった。 以上の実験はTMVのトマト株とその人工変異株を用いて検定したが、TMVのタバコ株についても同様の事を検定した。結果として同位値のセリン残基がタバコ株においても燐酸化されている事がわかった。 また、30Kタンパク質が植物細胞の細胞骨格に結合するという事実が見いだされている。そこで我々は燐酸化を受けなくなった30Kタンパク質が植物個体で増殖しない事とこの事実との関連性を見いだす事を試みた。30Kタンパク質のC末端に螢光蛋白質であるGreen fluorscent protein(GFP)を結合させた融合30Kタンパク質を発現するTMV、さらに燐酸化を受けなくなった30Kタンパク質にGEPを融合させたものを発現するTMVを作成した。これらを植物培養細胞に感染させ、GFPの螢光を頼りに30Kタンパク質の細胞内の存在分布を調べた。結果として、上記した2種の30Kタンパク質の分布は異なり、燐酸化が30Kタンパク質の細胞内分布に関係している事がわかった。
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