1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07660107
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Research Institution | MIE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田口 寛 三重大学, 生物資源学部, 教授 (60024593)
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Keywords | ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ / NAD / MNNG / ニコチン酸 / ナイアシン / リンパ球 / FACS / フローサイトメーター |
Research Abstract |
細胞にDNA損傷処理を施すと、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(以下PARPと略す)活性が上昇して細胞内NAD含量が著しく低下し、ポリ(ADP-リボース)合成が上昇することから、特にDNAの損傷、修複時に関与することが確実視されている。そこで、細胞内NADレベルの維持が機能発現に重要であると考え、今年度はPARP活性および細胞内NADレベルとDNA修復との関連に重点を置いて研究した。 1.MNNG処理に伴う細胞内NADレベルの変化 ナイアシン添加培地によるリンパ球の細胞内NADレベルの上昇がDNA修復に及ぼす影響について、まず、MNNG処理に伴う細胞内NADレベルの変化について調べた。その結果、MNNG処理(1時間)の間に、細胞内NAD量の著しい減少が観察された。 2.細胞内NADレベル枯渇リンパ球について リンパ球のNADレベルを枯渇させて、その状態におけるDNA修復を調べるために、GIBCO社のRPMI1640セレクトアミンキットを用いて、ナイアシン欠乏培地を調製した。この培地でリンパ球を培養し、細胞内NAD量の変化について調べた。その結果、通常用いている血清の場合、NAD量にはほとんど変化はなく、透析した血清を用いたときに、若干の低下が見られた。 3.FACSによるポリ(ADP-リボース)の同定 末梢血リンパ球のポリ(ADP-リボース)量について調べた。また、蛍光抗体法についても検討した。好中球とリンパ球の分離は、ヘパリン処理した静脈血をデキストランT500溶液に懸濁し、20分静置して赤血球を除去した後、Ficoll-Paqueに重層して比重遠心することで、1サンプルから同時に得られる。FACS(フローサイトメ-夕-)は細胞周期解析の他に、リンパ球のサブセット解析にも多用され、現在では、各成分について散乱光のドットプロットから判断することができる。その結果、それそれの分画については、おおむね良好であった。ポリ(ADP一リボース)量に関しては、好中球では陰性コントロールとの差がほとんどなかった。一方、リンパ球については、蛍光を発する細胞の数自体は増加していることがわかった。
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