1995 Fiscal Year Annual Research Report
パルブアルブミン分子種の乳化機能発現に対する構造要因の解明
Project/Area Number |
07660260
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川合 祐史 北海道大学, 水産学部, 講師 (60195039)
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Keywords | パルブアルブミン / 筋形質タンパク質 / コイ / 乳化活性 / 脂肪結合能 / 表面疎水性 / 乳化特性 |
Research Abstract |
コイ筋形質タンパク質画分からSephadex G-75によるゲル濾過によって、パルブアルブミン(PA)画分とそれ以外の筋形質タンパク質を含む画分(Sp-P)に分離した。両画分を1mg/mlのタンパク質濃度でトリオレインを分散相(分率0.25)として超音波乳化すると、PA画分はSp-P画分よりも乳化活性が高く、牛血清アルブミン(BSA)に匹敵した。PA画分の乳化活性は、さほど強いタンパク質濃度依存性がなく、また、等電点付近(pH4.8)で最小となり、それよりも塩基性側で高かった。また、PA画分のDPH-蛍光法による脂肪結合能も1mg/ml程度の低タンパク質濃度域で著しく高く、BSAと同等であった。PA画分のANS-およびCPA-蛍光法による表面疎水性はSp-P画分やBSAよりも著しく低かった。 さらに、PA画分をDEAE Sephacelによるイオン交換クロマトグラフィーに供し、Native-PAGEにおける移動度の小さい方からa,b,cの主要な3分子種に分離した。各分子種ともシステインが1残基ずつ存在するため、高温加熱によってSS結合形成に伴う二量体が生成し、それがわずかに乳化活性に影響を及ぼすことが認められた。PA各分子種の乳化活性は低い等電点pHを有する分子種で高い傾向(c>b>a)が認められ、また、EDTAの共存によって乳化活性は増大した。PA各分子種の表面疎水性はPA全画分と同様にかなり低いレベルであったが、EDTAによって疎水性の増大が認められた。PAの乳化特性には、Ca^<2+>の関与する分子構造(表面疎水性)と等電点に関係する静電気的相互作用が影響することが考えられた。
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