1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07670040
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
星 素 日本大学, 医学部, 教授 (30059290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 潔 日本大学, 医学部, 助手 (10171745)
永田 英二 日本大学, 医学部, 助手 (00102525)
堀江 香恵子 日本大学, 医学部, 講師 (30139141)
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Keywords | リンパ濾胞形成 / 胚中心 / マクロファージ / 濾胞樹状細胞(FDC) / 高内皮細静脈(HEV) / リンパ節 / 免疫組織化学 / マウス |
Research Abstract |
1.リンパ濾胞形成におけるマクロファージの役割を明確化することを目的として、マウス脾臓から得た付着マクロファージをin vitroで刺激し、recipientマウスの皮下に移入し、所属リンパ節における濾胞形成を検討してきたが、付着細胞の回収率が低い。このため骨髄、リンパ節、腹腔等よりマクロファージの回収を試みた。腹腔から集めた細胞の細胞種を、サイトフローメトリーにより同定したところ、大多数はMac-1陽性マクロファージであり、NLDC-145陽性ID細胞、リンパ球を殆ど含まないことが示された。これらの細胞をin vitroでヘモシアニンまたはlipid Aで刺激し、re-cipientマウス足底に移入したところ、所属膝窩リンパ節においては胚中心を伴なう二次濾胞が誘発された。誘発される濾胞の数は刺激物の濃度依存性に増加した。活性化マクロファージは濾胞を誘発することができることを強く示唆する所見であると考えられた。 2.濾胞形成に先立ち、濾胞間部にBリンパ球集合が生ずる。これはこの部に高内皮細静脈(HEV)が発達し、Bリンパ球の流入が生ずるためか、既存のHEVから流入したBリンパ球の移動によるためか明らかでない。濾胞形成が生ずる直前に濾胞間部におけるHEV発育の有無を検索したところ、HEV発育を証明することはできなかった。この問題については引続き検討を続ける予定である。 3.抗原刺激により多数の濾胞が反応性に誘発された時期にX線照射を加えると、反応性濾胞の多くは消退してしまう。この理由として、反応性濾胞に発育してくる濾胞樹状細胞FDCのX線抵抗性が低いためであることを免疫組織化学的に確認した。X線抵抗性が低い理由として、反応性濾胞に発育するFDCの多くが発育不十分の状態に止まるためと考えられる。現在この点を明確化するため、FDC関連マーカーを用いて免疫組織化学的に検討しつつあるが、反応性濾胞におけるFDCの発達の程度は濾胞によってばらつきがあり、これが濾胞のその後の消長やX線抵抗性に大きく影響すると考えられる。
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[Publications] H.Hoshi et al.: "Reactive formation of lymphoid follicles and germinal centers in draining lymph nodes after subcutaneous injection of" Nihon Univ.J.Med. 38. 265-276 (1996)
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[Publications] 鈴木,陳ほか: "ラット膝窩リンパ節の生後発育におよぼすX線全身照射の影響" 日大医学雑誌. 55・1. 39-48 (1996)
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[Publications] 永田,田中ほか: "マウスの上腕および腋窩リンパ節構造の機能的分画" リンパ学. 19・2. 15-26 (1996)
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[Publications] 今関,堀江ほか: "可溶性ミトケンとcarbonの混合投与によって誘発される反応性濾胞形成" 日大医学雑誌. 56・3. 157-167 (1997)
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[Publications] K.Horie et al.: "Radiation sensitivity of the stromata of reactively induced lymphoid follicles and germinal centers in mouse lynph nodes" Nihon Univ.J.Med.(発表予定).
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[Publications] 大谷,加藤,内野編: "リンパ管-形態・機能・発生(リンパ節構造の機能的分画)" 西村書店(出版予定), (1997)