1995 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト悪性リンパ腫の実験転移モデルの確立とレクチン結合性による転移能の解析
Project/Area Number |
07670209
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
阿部 正文 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (00045783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 和洋 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (70244382)
富永 邦彦 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20145626)
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Keywords | 悪性リンパ腫 / 培養株 / レクチン / SCIDマウス / 転移 / 糖鎖 |
Research Abstract |
研究代表者は当教室で樹立したヒトリンパ腫B細胞株(HBL-1,HBL-2,HBL-6:びまん性リンパ腫大細胞型由来、HBL-4,HBL-5,HBL-7,HBL-8:バ-キット型リンパ腫由来)とJCRBから供給されたヒトBリンパ腫細胞株(Raji,Daudi:バ-キット型リンパ腫由来)をsevere combined immunodeficiency(SCID)マウスに皮下移植した結果、遠隔臓器(特に脾、骨髄、卵巣)に高率に転移する株(HBL-2,HBL-7,HBL-8)とほとんど転移しない株(HBL-1,HBL-4,HBL-5,HBL-6,Raji,Daudi)とに分けられた。この転移能の差を明らかにするため、種々のレクチンを用いた糖鎖の解析をフローサイトメトリーで検討した。その結果、SBAレクチン結合性が遠隔転移能と関連していることが示唆された。すなわち、高転移株であるHBL-7とHBL-8では、in vitroの細胞はSBAレクチンと結合するが、in vivoの細胞(SCIDマウスの皮下移植巣および遠隔転移巣)はほとんどSBAレクチンと結合しなかった。HBL-2高転移株はin vitro、in vivoの細胞ともほとんどSBAレクチンと結合しなかった。一方、低転移株はin virto、in vivo(皮下移植巣)の細胞ともSBAレクチンと強く結合した。さらにこれを確認するため、HBL-7とHBL-8の細胞株からSBAレクチンと結合するクローンとSBAレクチンと結合しないクローンとを選択し、それぞれをSCIDマウスの皮下に移植し、その転移能を検討した。SBAレクチンと結合能を有しないクローンは高率に転移を示すが、SBAレクチンと結合能を有するクローンは転移を示さなかった。また、これら高転移株をノイラミニダーゼ処理するとSBAレクチンと結合することが明らかとなった。 従って、研究代表者らの開発したヒトBリンパ腫細胞株を用いたSCIDマウス転移モデルではシアル酸によってmaskingされたSBAレクチン認識糖鎖(N-アセチルガラクトサミン系)末端分子が転移能と深く関与していることが示唆された。
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