1997 Fiscal Year Annual Research Report
金属感作モデル(ニッケル、コバルト)における呼吸器系免疫毒性発現に関する研究
Project/Area Number |
07670399
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Research Institution | Fukui Medical University |
Principal Investigator |
日下 幸則 福井医科大学, 医学部, 教授 (70135680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 明美 福井医科大学, 医学部, 助手 (40262638)
中久木 和也 福井医科大学, 医学部, 教授 (90024629)
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Keywords | 金属アレルギー / ニッケル / コバルト / 皮膚感作 / 動物モデル / 呼吸器 / 免疫毒性 / 肺胞洗浄 |
Research Abstract |
金属アレルギーは増加の一途を辿っている。その起因物質としては、ニッケル、コバルトが指摘されている。皮膚感作を介して成立した金属感作動物モデルにおいて、これら金属による呼吸器免疫毒性の発現、呼吸器曝露により誘発されたアレルギー性病変の病態とメカニズムを調べることを、目的とした。 前々年度および前年度において、ウィスター系ラットにニッケル、コバルトを投与し、それにより惹起される肺病変について病理学的検索、肺胞洗浄液の細胞学的(炎症細胞分画・リンパ球サブセット)、生化学的(総蛋白、アルブミン、LDH、LPO、活性酸素種)、免疫学的指標(サイトカイン)測定により調べた。 本年度は引き続き皮膚感作モデルの作成をモルモットにおいて試み、かつ、自作のエアロゾール吸入チャンバーを用いて、気道誘発を試みることを目的とした。そして、このモデルにおいて、上記指標の測定により肺病変を調べようとした。 モルモットにおいて、コバルトの皮膚感作は比較的容易に成立した。このコバルト感作モデルから肺胞洗浄により肺胞マクロファージを回収し、同時に、同一個体から胸郭気道系リンパ節のリンパ球を得て、マクロファージーリンパ球混合培養系を、in vitroにて確立した。標識したチミジンの取り込みを用いてDNA合成を測定したところ、この系にコバルトを抗原として添加した場合、そうでない場合よりも、明らかにDNA合成が亢進した。即ち、このコバルト感作モデルにおいて、肺胞マクロファージが抗原提示細胞となってリンパ球増殖を促進し得ることが示唆された。但し、in vivoでの抗原暴露は無し得ていない。 昨年度に確立したニッケル肺のラット・モデルにおいては、その持続性肺炎の過程においてDNA損傷が発生していること、NOがその持続性肺炎に関与していることを明らかにした。また、コバルト肺ラット・モデルにおいて、サイトカインの一種である腫瘍壊死因子(TNF-α)が炎症に関与していることも明らかにした。
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[Publications] 森田明美: "重金属 第2回コバルトとその化合物." 日本産業衛生学会誌.39(2). A39-A40 (1997)
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[Publications] Kusaka,Y: "Association of natural killer cell activity with serum IgE." Int Arch Allergy Immunol.112. 331-335 (1996)
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[Publications] Kumagai,S.: "Fitness of occupational exposure data to inverse Gaussian distribution." Environmental Modeling Assessment.1. 277-280 (1996)
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[Publications] Kumagai,S.: "Log-Normality of distribution of occupational exosure concentrations to cobalt." British Occupational Hygiene Socity.41(3). 281-286 (1996)
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[Publications] Zhang,Q.: "Differences in the extent of inflammtion caused by intracheal exposure to 3 ultrafine metals : role of free radicals." Journal of toxicology and Environmental Health.(in press).