1996 Fiscal Year Annual Research Report
単純ヘルペスウイルスの皮膚における感染様式と調節因子の解明
Project/Area Number |
07670956
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
三浦 俊祐 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50244364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 暢弘 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90133719)
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Keywords | 単純ヘルペスウイルス / 持続感染 / 皮膚角化細胞 / 神経細胞 / メラノーマ細胞 / NT-2細胞 / 遺伝子治療 / HSV |
Research Abstract |
1.引き続きin vitroにおける持続感染系の確立を試みた。HSVは神経(節)細胞に持続感染を成立させ、再活性化して皮膚の顕性感染に至るが、神経細胞(NT-2)、皮膚角化細胞(HSC-1)それぞれに低いm.o.iでHSV-1を感染させ、感染態度の違いをみた。その結果、神経細胞ではm.o.i=10^<-7>ないし10^<-8>ではCPEを起こさず、confluentになると、未感染細胞と同様に剥離する事、他方、皮膚角化細胞ではconfluentになると急激にCPEを引き起こし、両者のウイルス感染に対する態度の違いが示された。現在、感染細胞上清中のウイルス力値の差、転写因子の発現につき、検討中である。 2.皮膚を構成する細胞の一つにメラノサイトがあり、その癌化である悪性黒色腫は治療抵抗性の腫瘍として知られる。メラノサイト治療の試みとしてHSV thymidine kinase遺伝子を腫瘍細胞に導入し、発現させた後、抗ヘルペスウイルス剤を投与するいわゆる「自殺遺伝子」療法が試みられてきている。我々はメラノサイトがneural crest由来である事からメラノサイトにおける持続感染の可能性も考えてきた。遺伝子導入のマーカーとしてtyrosinaseおよびその関連タンパク(TRP-1)を選び、メラニンを産生しない黒色腫細胞にこれらの遺伝子をtransfectし、メラニン産生能の亢進を認めた。これら基礎データを基に(1)メラノサイトにおける持続感染の検討、(2)メラノーマ細胞へのHSV thymidine kinase遺伝子およびメラニン産生関連遺伝子の導入による抗腫瘍療法の検討を行っている。
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