1996 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生抑制物質を用いた転移性悪性腫瘍の治療に関する研究
Project/Area Number |
07671002
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Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
廣田 省三 神戸大学, 医学部・附属病院, 助教授 (20181216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 真一 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (10229552)
糸氏 英一郎 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (90243302)
佐古 正雄 神戸大学, 医学部・附属病院, 助教授 (60030970)
河野 通雄 神戸大学, 医学部, 教授 (60030938)
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Keywords | 血管新生抑制物質 / TNP470 / 肝転移 / 皮下注入 / 門脈内間欠反復注入 / 静注 / ウサギ(家兎) |
Research Abstract |
悪性腫瘍の治療における血管新生抑制物質の有用性の検討および至適投与法の検討を目的として、方法は家兎VX2腫瘍の肝転移モデルを用いて実験的研究を行なった。平成8年度の検討内容は各種血管新生抑制物質(フマギリン誘導物質、angiostatic steroidなど)を各種投与法(皮下注入、門脈内間欠反復注入注入、静注群)にて治療し、血管新生の程度を病理学的に判定し、その血管新生抑制効果を検討する。また、副作用についても検討した。 1)転移性肝腫瘍モデルに対するフマギリン誘導物質の血管新生抑制効果の病理学的検討結果: 実際の腫瘍内血管の量、すなわち血管新生の程度を表すと考えられるB/V比は、3mmの腫瘍については、A群(コントロール)は1.51%、B群(AGI皮下注群)は0.64%、C群(AGI門注群)は0.82%、D群(ADM門注群)は1.76%、E群(AGI+ADM門注群)は0.57%で、6mmの腫瘍については、A群は1.25%、B群は1.07%、C群は0.87%、D群は1.55%、E群は0.66%であった。N/T比については明らかな傾向は指摘し得なかったが、血管腔はB/T比、B/V比ともにTNP-470使用群で減少する傾向にあった。特にB/V比はE群ではA群の1/2以下であった。またB群とC群との間には明らかな差は認められなかった。 2)副作用の検討 腫瘍移植2日後の初回薬剤投与日と、2週間後の血液学的変化および体重の変化を平均値でFig7に示す。赤血球、白血球ともにTNP-470投与群で明らかな減少はみられなかった。白血球はE群でやや低下しているがD群でも同様の傾向があることよりAdriamycinによる変化の可能性がある。ただいずれも正常範囲上限近くであり問題となるものではないと考えられる。またs-GOT、s-GPTについても、肝内の腫瘍増殖による変化が加わっている条件下でもあり、TNP投与による明らかな上昇は指摘し得ないものと考えられる。体重についても同様で、いずれの群でも増加し、その変化に明らかな差はみられなかった。 3)評価 平成8年度は当初予定した実験計画より詳細な病理的検討、血液学的検討を施工することができた。特に病理学的に新生血管面積の縮小認めたことは大きな収穫である。
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