1996 Fiscal Year Annual Research Report
胎児仮死の病態生理に関する研究-特に胎児血流の再分配の機構について-
Project/Area Number |
07671280
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
吉田 幸洋 順天堂大学, 医学部, 講師 (90166950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 靖 順天堂大学, 医学部, 助手 (70207926)
桑原 慶紀 順天堂大学, 医学部, 教授 (20010324)
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Keywords | 胎児仮死 / 胎児子宮外保育 / 実験周産期医学 / 体外循環 / 膜型人工肺 |
Research Abstract |
低酸素症に陥った胎児が示す、胎児・胎盤循環を含めた末梢循環の減少と胎児脳循環の増加といった血流再分配が、胎児低酸素症そのものによるのか、あるいは同時に存在する高二酸化炭素血症によるのかを検討し、このような状態に陥った胎児の生理的パラメータの変化や行動を観察し、胎児仮死発症機構の一端を明らかにすることを目的とした。平成8年度はヤギ胎仔5頭(平均在胎125.6日)を対象に子宮外保育実験を行い、高二酸化炭素血症(HC)時における循環動態の変化について観察した。ヤギ胎仔のHCは、膜型人工肺への酸素濃度を一定とし、換気流量のみを段階的に低下させることによって作成した。その結果、胎仔の酸素飽和度が一定(48.6【+-】)6.4%)で、長時間にわたり高二酸化炭素負荷実験が行えた。すなわち、正常時のPaCO2:36.1【+-】1.1(mmHg)から、90〜120分後に軽度HC(PaCO2:48.3【+-】0.8)が、さらに、150〜180分後に高度HC(PaCO2:82.9【+-】6.5)が作成できた。胎仔の各循環パラメータの変化では、脳血流を反映すると考えられる総経動脈血流量は軽度HCでは変化が見られなかったが、高度HCでは有意に増加した。一方、心拍数は軽度HCでは軽度に上昇したが、高度HCでは有意に低下した。平均血圧、体外循環血流量に有意な変化は見られなかった。以上のことから、化学受容体を介するHCに対する反応は、慢性的な刺激で低下する可能性が明らかになるとともに、胎児仮死において出現する徐脈の原因として、慢性的なHCの関与が示唆された。
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