1995 Fiscal Year Annual Research Report
スキルス胃癌モデルを用いた癌間質の増生、硬化、収縮の機序に関する研究
Project/Area Number |
07671420
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
菊池 史郎 北里大学, 医学部, 講師 (30161417)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 秀人 北里大学, 医学部, 講師 (60146420)
井原 厚 北里大学, 医学部, 講師 (80184787)
渡辺 健児 北里大学, 医学部, 助手 (10220881)
伊藤 義也 北里大学, 医学部, 助手 (40203187)
|
Keywords | コラーゲンゲル培養 / スキルス胃癌 / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
スキルス胃癌の進展に伴う間質の硬化、収縮の機序を明らかにするために、in vivoの状態をより反映することのできるコラーゲンゲル培養法を用いて細胞間物質(コラーゲン)、間質細胞(線維芽細胞)、癌細胞の相互関係を検討した。 [方法]手術材料より得られたスキルス胃癌間質線維芽細胞(MKF-1)、正常胃壁線維芽細胞(MF-3)、真皮線維芽細胞(KF-2)および樹立細胞株であるヒト真皮線維芽細胞(TIG)、スキルス胃癌細胞(KATO III)を用いた。10%ウシ血清、0.25%コラーゲンを含むRPMI 1640培地に細胞を加え混合液とし、径35mmシャーレに2mlずつ分注しコラーゲンゲル培養を行った。細胞数は単独培養において2.5×10^5cells/dish,混合培養においては癌細胞、線維芽細胞それぞれ2.5×10^5cells/dishに設定した。培養後7日目のコラーゲンゲルの収縮率を測定すると伴に、ゲルを10%ホルマリンにて固定後、組織切片を作成しMasson変法にて染色しゲルの形態学的検討を行った。 [結果] 1、単独培養においてKATO III株ではゲル収縮は認められなかったが、各線維芽細胞では細胞種によりその収縮率に差異がみられ25%〜51%のゲル径の収縮がみられた。 2、KATO III株と各線維芽細胞の混合培養においても同様に34%〜43%のゲル径の収縮がみられた。 3、光顕的にコラーゲン線維は線維芽細胞により再編成され、細胞周囲に会合していたが、この変化はKATO III株においては混合培養においても認められなかった。 [まとめ]本モデルにおいてヒト線維芽細胞はその起源にかかわらずコラーゲンゲルを収縮する特性を有していた。この現象には癌細胞は直接的には関与しておらず、スキルス胃癌間質の収縮、硬化において間質細胞である線維芽細胞が重要な役割を担っている可能性が示唆された。 研究成果の一部は、第66回胃癌研究会において報告した。
|