1995 Fiscal Year Annual Research Report
線維芽細胞成長因子を用いた冠状動脈疾患に対する外科治療の研究
Project/Area Number |
07671453
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉藤 寛文 東京大学, 医学部(病), 助手 (60184008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小塚 裕 東京大学, 医学部(病), 助教授 (10126055)
今中 和人 東京大学, 医学部(病), 医員
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Keywords | 線維細胞増殖因子 / 冠状動脈 / 側副血行 / 局所投与 |
Research Abstract |
本研究の目的は、basic fibroblast growthfactor(以下b-FGF)の局所投与による他臓器ないし他組織の動脈と冠状動脈との間の側副血行新生である。しかし、b-FGFの局所投与による冠状動脈間の側副血行新生について報告がなく(b-FGFのカテーテル的冠状動脈内投与については有効であると報告されている。またacidic FGFの局所投与については無効であると報告されている)、冠状動脈間に側副血行が形成されうることは、他臓器ないし他組織の動脈との間にそれが形成されるための必須の前提であると考えられるため、基礎実験として雑種成犬の冠状動脈左前下行枝に急性虚血を作製し、対角枝や左回旋枝鈍縁枝からb-FGFの局所投与によって側副血行を形成させることを行なうこととした。b-FGFの局所投与によって側副血行を形成させることを行なうこととした。b-FGFの細胞増殖活性については、培養細胞においてその明かな有効性を確認した。そのうえで雑種成犬10頭(10.4〜15.7kg)をペントバルビタールによる全身麻酔下に左開胸、心膜切開し、冠状動脈左前下行枝の末梢(殆どの例で右冠状動脈と直接吻合あり)を結紮、冠状動脈左前下行枝中枢側は対角枝を分けた直後で二段階結紮した。その後、対角枝や鈍縁枝の末梢で、虚血に陥ったと思われる領域に近い部分に数箇所に分けてb-FGF 10μgを生理食塩水2ccに溶解したものを、心膜下や心筋内に局所投与した。10頭のうち3頭が早期死亡したが、残る7頭を4週間後に犠牲死せしめ組織学的に、またうち2頭では死体心の冠状動脈造影を行なった。1頭には明かな心筋梗塞ができていなかった。残る6頭には梗塞は見られるものの、側副血行の増生は肉眼的にも組織学的にも明らかでなく、冠状動脈造影では梗塞領域は単なるavascular areaであって側副血行の形成は全く見られなかった。今後、急性虚血モデルでb-FGF投与方法を変更、または慢性虚血モデルでまずは冠状動脈間側副血行の形成を観察する予定である。
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