1996 Fiscal Year Annual Research Report
後縦靭帯骨化症の骨化機序に関する分子生物学的解析-TGF-β、BMPの役割-
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07671604
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
酒匂 崇 鹿児島大学, 医学部, 教授 (10041295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 俊二 鹿児島大学, 医学部, 講師 (90229500)
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Keywords | 骨折治癒 / 関節軟骨 / BMP / BMPレセプタータイプIA / BMPレセプタータイプIB / BMPレセプタータイプII / アクチビンレセプタータイプI / アクチビンレセプタータイプII |
Research Abstract |
骨・軟骨形成におけるBMPの役割を検討するために以下に示す2つの組織を準備した。 1)骨折治癒における骨形成過程のモデル 生後14週から16週の雄のウィスターラットの大腿骨に実験的に骨折を作成し、骨折後1、3、5、7、14、28日目の化骨を含む大腿骨を10%中性緩衝ホルマリンで灌流固定後、一塊として採取した。これらの組織をEDTAにて脱灰後、パラフィン切片を作成した。 2)関節軟骨成長過程の経時的変化 同様の手法にて、ウィスターラット生後2、4、6、12、24週の脛骨関節軟骨のパラフィン切片を作成した。 上記の標本をH.E.染色し、組織学的観察を行った後に、BMP-2/-4、BMP-7/OP-1とこれらに対するレセプターであるBMPレセプタータイプIA、タイプIB、タイプIIおよびアクチビンレセプタータイプI、タイプIIの発現を免疫組織学的に観察した。骨折治癒過程においては、BMP-2/-4、BMP-7/OP-1は膜性骨化や内軟骨性骨化の様々なステージで発現していた。しかし、BMP-2/-4は初期に強く漸次その発現が低下していくが、BMP-7/OP-1は、膜性骨化の新生骨骨芽細胞や肥大軟骨細胞に特に発現しているという相違点が認められた。一方、レセプターの方は、骨膜の骨原性細胞や骨芽細胞、内軟骨性骨化部の線維芽細胞様の紡錘形細胞や軟骨細胞においてBMPレセプタータイプIA、タイプIB、タイプIIの発現が認められた。アクチビンレセプタータイプI、タイプIIの発現も同様の細胞に認めされたが、新生骨では弱く、ステージが進行し骨が成熟してくると増強する傾向にあった。これらの結果より、骨・軟骨形成の様々な分化段階に応じて、各々の細胞が異なったレセプターの組合わせにより、BMPの多様なシグナルを受けていると考えられる。また、関節軟骨でも、BMP-2/-4、BMP-7/OP-1とそのレセプターの発現が観察されたが、加齢とともに軟骨の発達が衰退してくるとこれに相関してその発現も低下していく傾向にあり、関節軟骨の発育とその代謝にBMPが重要な役割を果たしていることが示唆され、今後の更なる研究の基礎データとなるものと考えられた。
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[Publications] BRADLEYL.ROSENZWEIG: "Cloning and characterization of a human Type II receptor for bone morphogenetic proteins" Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 92. 7632-7636 (1995)
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[Publications] YASUHIRO ISHIDOU: "Enhanced Expression of Type I Receptors for Bone Morphogenetic Proteins During Bone Formation" Journal of Bone and Mineral Research. 10・11. 1651-1659 (1995)
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[Publications] 長嶺智徳: "骨折治癒過程におけるBMPおよびアクチビンレセプターの発現" 日本骨代謝学会雑誌. 14・2. 43- (1996)
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[Publications] 長嶺智徳: "骨折治癒過程におけるBMPレセプターの発現(第2報)" 日本生体電気刺激研究会誌. 10. 77-78 (1996)
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[Publications] Koji Yonemori: "Bone Morphogenetic Protein Receptors and Activin Receptors are Highty Expressed in Ossified Ligament Tissues of Patients with OPLL" The American Jaurnal of Pathology. 150. (1997)