1995 Fiscal Year Annual Research Report
ARDSの肺障害における白血球ローリングレセプター L-セレクチンの役割の解析 -L-セレクチン阻害剤による好中球肺障害の抑制効果の検討-
Project/Area Number |
07671657
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
妙中 信之 大阪大学, 医学部・附属病院, 講師 (10127243)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 裕士 大阪大学, 医学部・附属病院, 助手 (50252672)
西村 信哉 大阪大学, 医学部・附属病院, 助手 (00263286)
|
Keywords | 接着分子 / L-セレクチン / 好中球 / 肺傷害 |
Research Abstract |
目的 フコイジンはフコースのホモポリマーであり、L-セレクチンのレクチン様部位に結合し、その機能を阻害することが知られている。われわれはフコイジンを用いて、好中球ローリングレセプターであるL-セレクチンを阻害することにより、肺障害時の好中球浸潤を抑制効果をウサギARDSモデルで検討した。 方法 ARDSモデルでは気管内にPMA(25mg/kg)を注入した。PMAは実験動物に気管内投与すると、肺に好中球集積を伴う障害をひきおこし、その病理所見はARDSに酷似する。また腹腔内炎症に対する効果をみるための腹膜炎モデルは3%TGC50mlを腹腔内に注入した。 ARDSモデルで、PMAを気管内投与する5分前にフコイジン(10mg/kg)をbolus静注し、その後フコイジンを持続静注(10mg/kg/hr)した。6時間後に、ウサギを脱血死させた後気管支肺胞洗浄を行ない、回収された総細胞数と好中球数を計測した。 腹膜炎モデルでTGC注入5分前にフコイジン(10mg/kg)をbolus静注し、その後フコイジンを持続静注(10mg/kg/hr)した。6時間後にウサギを脱血死させ腹腔洗浄を行ない、回収された好中球数を計測した。 すべての実験で対照群ではフコイジンのかわりにPBSを同量投与した。 結果および考察 フコイジン投与によるARDSモデルおよび腹膜炎モデルでの好中球侵潤の抑制の程度はそれぞれPBS投与群と比較して、97.7ア0.5%および98.4ア1.3%であり、両方の炎症部位への好中球侵潤を有意に抑制した。この効果はフコイジンがL-セレクチンの機能を阻害し、好中球のローリングが抑えられたため、接着分子のカスケードが進まず、血管外へ遊走できなかったためであると思われる。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Motomu Shimaoka: "Fucoidin,a potent inhibitor of leukocyte. rolling,prevents neutrophil influx into phorbol-ester-induced inflammatory sites in rabbit lungs." American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine. 153. 307-311 (1996)