1996 Fiscal Year Annual Research Report
泌尿器癌におけるCD44遺伝子のスプライス変化の解析
Project/Area Number |
07671724
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Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松井 隆 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (70252781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐谷 秀行 熊本大学, 医学部, 教授 (80264282)
原 勲 神戸大学, 医学部, 助手 (10263378)
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Keywords | 泌尿器癌 / CD44 / 尿 / Competitive RT-PCR |
Research Abstract |
CD44は膜貫通型の糖蛋白であり,多彩な細胞機能に関与すると考えられている.特に癌細胞においてはalterntive splicingによって生じるvariant isoformの発現が知られている.そこで我々はは,CD44のalternative splicing patternの違いを利用して,RT-PCR法によって尿路上皮癌患者の尿中に遊離してくる癌細胞を高感度に同定するシステムを開発し臨床応用への可能性を検討した.つまり,研究分担者の佐谷等が大腸癌組織にて強発現していることを報告したvariant exon8,9,10が挿入されたCD44R1及び,尿中のback groundの細胞になるleucocyteにおけるmajor variant isoformであるvariant exon10が挿入されたCD44R2に着目し,CD44R1のvariant exon8とCD44R2のvariant exon10の5側の最初の3bpの塩基配列が同じであることを利用して、CD44R1,R2の2つのにisoformを同時にspecificにamplifyするprimerを設定し,尿サンプルのRT-PCRによる解析を行なった.なお,尿路上皮癌自体のCD44R1,R2の発現様式の傾向を知るために,手術時に凍結保存しておいた尿路上皮癌組織も併せて解析した.現在までに上記のRT-PCRにて解析した,尿路上皮癌組織10例,尿路上皮癌患者尿20例および良性尿路疾患患者尿30例の内,CD44R1がCD44R2よりdominantにamplifyされたのは,それぞれ6例(60%),13例(65%)および0例(0%)であった.解析を行なった尿路上皮癌患者サンプルの内5例が,尿細胞診にて陽性所見を得られていないが本システムにて陽性と判定されたこと,偽陽性の症例が無かったこと,および本法はcompetitorの合成を必要とせず,CD44R1,R2という内在性に存在する遺伝子を1組のprimerでamplifyすることがで,正確なcompetitive PCRが可能であること等より,CD44R1/R2比による診断は尿路上皮癌の補助診断法とし有用と考えられる.
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